【FreeCAD初心者ガイド】FreeCADで規格ボルト用のネジ溝を作成する
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2022/06/07
2025/04/03
FreeCADでオジリナルのネジ溝で無くてよいなら、
ここでは簡単にFreeCADへの導入と使い方をメモとして紹介しておきます。
FreeCADへFastenersをインストールする
Fastenersワークベンチは有志の方が提供している外部のワークベンチですので、FreeCADデフォルトでは利用できない機能です。
まずは、FreeCADでFastenersワークベンチを使えるようにします。
公式にも書いてあるように、FreeCADのv0.17.9940以降からは
Addons Manager (アドオンマネージャ)
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なお、現行ではFreeCAD v1.0が安定版として提供されておりますが、それより古いv0.18以前だと、以下のようにアドオンマネージャを更新出来ずにスタックするような症状がみられる場合があります。
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...Wikiのデータベースに同期するためのファイルローダーのスクリプトにバグがあるそうなので、この症状が出たら、大人しくFreeCAD v1.0にアップグレードすることが推奨されます。
アドオンマネージャが問題なくライブラリ更新されると、追加アドオンの候補に
[Fastenersワークベンチ]
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Fastenersを選択し、
[選択をインストール/更新する]
アドオンをインストールしたら、一度FreeCADを閉じて、プログラムを起動し直すとFastenersワークベンチが追加されています。
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ボルトの予備知識
一旦、Fastenersワークベンチを使う前に、日本で主に利用されているネジやボルトに関連する
JIS規格
というのも、Fastenersワークベンチの開発チームは主に海外の方であり、JISには対応しておらず、日本のユーザーはISOとの対応を考慮しないといけなくなります。
国内の六角ボルト
日本で流通する六角ボルトは主に、
これは、2014年の改定時に、国際規格である
詳細はJIS規格ハンドブックをよく読む必要がありますが、概要としては以下のように記されています。
この規格は
2011 年に第 4 版として発行された ISO 4014,
1979 年に第 1 版として発行された ISO 4015,
2011 年に第 4 版として発行された ISO 4016,ISO 4017 及び ISO 4018,
並びに 2011 年に第 3 版として発行された ISO 8676 及び ISO 8765
を基に,対応する部分(形状・寸法,製品仕様,及び製品の呼び方の例)
については対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく編集し,
一体化して作成した日本工業規格である。
ということで、ボルトのJIS規格は
国内の六角穴付きボルト
六角ボルトと同様に、六角穴付きボルトもベースとなっているISO規格があります。
考え方は先程の内容と同じですが、六角穴付きボルトの場合は、
Fastenersワークベンチを使ってみる
Fastenersワークベンチでは多種多様な規格のネジ・ナット・ワッシャの形状をワンプッシュで生成することが可能です。
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ではFastenersワークベンチに切り替えて基本的な利用法を紹介していきます。
ネジ形状をカスタマイズする
Fastenersワークベンチでは、メジャーな工業規格のネジ形状をほとんど網羅しており、お目当てのネジ規格を選択して、形状パラメータを打つことで簡単にネジ溝が作成できます。
色々便利な機能もありますが、今回はオネジ・メネジタップの機能(下のアイコン)のみ紹介します。
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なお、オレンジのアイコンが一般ネジ(メトリックネジ)、青色がインチネジのネジタップに対応しています。
図より左から、
(メネジ用の)ホールタップ切り取り形状
(オネジ用の)外径タップ切り取り形状
汎用ネジロッド形状
前の2つは任意のソリッドにオネジ・メネジ形状に切り取るときに利用し、汎用ネジロッドが多目的に利用できます。
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一例として、M12のホールタップ形状を作成し、適当なソリッドへメネジを付けてみます。
適当なプロジェクトを作成し、
[Fasteners]ワークベンチ
ホールタップ切り取り形状
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基本形状を呼び出しただけだと、プレーンな円柱が表示されるだけで、そのままではネジ形状は未設定になっている状態です。
では、以下の手順で目的のネジ形状を設定してみましょう。
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まず
[コンボビュー]
[プロパティ] > [データ]
とりあえず今回はM12ネジにするだけですので、
[diameter]
[thread]
すると、ネジ形状の計算が開始され、暫く待つと、目的のネジ形状がソリッドとして現れます。
あとは
[Part]ワークベンチ
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コンボビュー上で、
ネジ穴を付けたいソリッド > ネジ穴形状オブジェクト
[Cutout]
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穴に素早くネジ形状を立体のエッジに配置する
先程の例では、詳細なネジの形状をパラメトリックに作成することに着目しました。 より便利な機能に、「ネジ形状の一括配置」があります。
この機能を使えば、例えばたくさんのボルト穴をもつ部品へ、より効率的にボルトを初期配置することができます。
ちょっとだけ手順を図解してみます。
ボルト穴をたくさん持つ部品を作るのは手間なので、以下の記事で紹介した「Makers」ワークベンチから適当な部品を生成しておきます。
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ボルトを配置したいエッジをすべて選択します。
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配置したいボルトの形状のアイコンをクリックすることで、エッジの径から自動で大きさを判別し、一括で配置することができます。
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モデルによっては面の法線方向の兼ね合いで、ネジの挿入する向きが裏返ってしますこともあります。
方向を裏返したい場合もネジ形状を選択し、プロパティから
[Invert] > [true]
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ネジ形状を平面の円(ワイヤー)に配置する
先ほどの利用例の延長で、立体形状のエッジだけでなく、Draftワークベンチで作成した円にもネジ形状を配置することができます。
Draftワークベンチから適当に円を描きます。
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このとき、円は面なしのワイヤーになるようにしないと、Fastenersワークベンチが上手くネジ形状を配置させることができないことに注意です。
あとは先ほどの手順同様に、配置させたい円を順次選択して、ネジ形状のアイコンをクリックすることで自動で適当なサイズの部品が生成されます。
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まとめ
というわけで、規格ネジの形状なら大した苦労も無く作れてしまう「Fasteners」エクステンションの簡単な使い道を紹介してみました。
Fastenersで使えるネジもだいたい同じようにネジ形状パラメータを設定して、
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