【FreeCAD初心者ガイド】自作卓上装置のモデリング省力化に便利なMakerワークベンチのドキュメントを日本語化してみた


2022/07/30
蛸壺の中の工作室|自作卓上装置のモデリング省力化に便利なMakerワークベンチのドキュメントを日本語化してみた

FreeCADであまり知られていないけれど、非常に有用な外部ワークベンチを日本語で紹介していくコーナーです。

今回取り上げるのは、自作のCNC装置や3Dプリンターなどでは定番となっている組み立て式アルミフレームのパーツを、パラメトリック操作で作成してくれる
「Makerワークベンチ」の使い方を紹介します。

参考|Maker Workbench


合同会社タコスキングダム|タコツボの中の工作室

MakerワークベンチをFreeCADへインストールする

Makerワークベンチは、標準ではない外部のワークベンチなので、利用には別途インストールが必要です。

このワークベンチの用途としては、自作のCNC卓上リューターや、3Dプリンターの部材として使える汎用部品をパラメトリック入力でモデルを生成してくれることです。

Makerワークベンチを使うことで、FreeCADでも簡単に規格品モデルが生成できて、わざわざベンダーのサイト等でモデルを探してダウンロードする手間が省けます。

まずは導入方法から簡単に説明していきましょう。

インストール

Makerワークベンチは有志の方が提供している外部のワークベンチですので、FreeCADデフォルトでは利用できない機能です。

参考|FreeCAD Maker Workbench - Github

まずは、FreeCADでMakerワークベンチを使えるようにします。

公式にも書いてあるように、FreeCADのv0.17.9940以降からは
Addons Manager (アドオンマネージャ)からワークベンチが追加できるようになっています。

メニューから
[ツール] > [アドオンマネージャー]からアドオンマネージャーのダイアログを開き、ワークベンチのツリーメニューから、MakerWorkbenchを選択します。

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MakerWorkbenchを選択後、
[選択をインストール/実行する]を押すとインストールが始まります。

インストールが完了後にFreeCADを再起動すると、Makerワークベンチが利用可能になっているはずです。

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Makerワークベンチの使い方

Makerワークベンチのインストールが済んだので、簡単な使い方をいくつか紹介していきましょう。

Makerワークベンチの詳しいドキュメントは以下のページにあります。

参考|Mechatronic Documentation

なお、開発者の方は元々
「Mechatronic」という名前でFreeCADで使えるワークベンチとしてアドオンを提供されていたようですが、FreeCADがv0.19以降、アドオンマネージャーからインストールできるようになったのを転機に、Makerワークベンチと名前を変えているようです。

よって、MakerワークベンチもMechatronicも中身は同じです。

またMechatronicのサイトにある
Wikiページに非常に詳しい技術解説から、python CUIから利用できる関数リファレンスまで記載されているので、必要に応じてスクリプトなどからも利用することができます。

ともあれFreeCADプロジェクトを新規作成し、早速Makerワークベンチに切り替えてみましょう。

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Makerワークベンチのできることは、CNCルーターや3Dプリンターの自作キット向けに販売されている規格部品のモデルパターンをパラメトリックな諸元を入力するだけで生成することです。

生成可能なパーツモデルは以下のようになっています。

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個人的に良く利用する部品や、あまり見かけない部品なども含まれています。

以降の節ではこれは定番と思う規格品を例に取り上げ、Makerワークベンチでどう生成されるかを簡単に見ていきましょう。

シャフトホルダ

大抵の自作CNCには欠かせない支持柱を固定するホルダです。

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ツールから
[シャフトホルダ]のアイコンをクリックすると、コンボビュー内のタスクに、パラメトリック入力のフォームが現れます。

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シャフトホルダの入力パラメーターは支持するシャフトの直径を与えます。

例えばここでは6mm径を指定すると、大体のシャフトホルダの規格品の加工径として6.8mmのモデルが生成されることが分かります。

アルミプロファイル

いわゆる「アルミフレーム」を構成する棒です。

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またパターンを並べるとアルミフレームワークにもできそうです。

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生成方法は、ツールから
[アルミプロファイル]のアイコンをクリックし、パラメーター入力フォームから欲しいサイズを入力します。

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入力パラメーターは
[size][length]の2つで、それぞれプロファイル断面の正方形の一辺の長さと、プロファイル長を設定して利用します。

ブラケット

ブラケットはアルミプロファイルを直角に組み合わせときに必要なパーツです。

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ブラケットは3タイプから選択でき、
[Select Type]から、2 profiles(二面)2 profiles with flap(フラップ付き二面)3 profiles(三面)から選択できます。

通常の市販品は殆ど二面支持のブラケットですので、ここでは
2 profilesしか解説していません。他のオプションに興味があれば、ご自分の手で試してみてください。

ブラケットのパラメーターで少々分かりにくいのが、
first profilesecond profileです。

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通常、デフォルトでブラケットを生成したときに、XY面をプロファイルとするものを「第一プロファイル(first profile)」、YZ面のプロファイルを「第二プロファイル」としているようです。

他の調整パラメーターは、厚み、ボルトサイズ、ボルトのナット間隔、第一プロファイルの穴の数が変更可能です。

なお、試験的な機能なのか、
Reinforce(補強壁)をオンにしても、壁の厚みがゼロだという警告だけで、GUIからは生成されません。

現時点でReinforceを発生させたいなら、python CUIからスクリプトで設定するようです。

リニアボールベアリングハウジング

リニアボールベアリングは支持丸棒をスムーズに移動させるタイプのベアリングです。

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リニアボールベアリングを固定するホルダも色々と種類があり、CADでモデリングする際には、リニアボールベアリングの規格と、装置への取り付け位置の異なるハウジング規格などを考慮する必要があります。

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Makerワークベンチのリニアボールベアリングハウジングのパラメーターは、ハウジング取り付け規格タイプと、ベアリング規格の2つの組み合わせで、モデルを生成することができます。

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ステッピングモーター/ホルダー

3Dプリンターのみならず、精密な卓上装置の基幹部品と言っても良いのがステッピングモータです。

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3Dモデルを一から作ると、寸法を測ったり地味に面倒ですが、Makerワークベンチならパラメーターで一発生成可能で非常に気持ちも楽です。

前知識として知っておくことが、ステッピングモーターの規格として良く使われる、
NEMA(National Electrical Manufacturers Association/アメリカ電機工業会)があります。

ステッピングモータのモデリングでは、このNEMAの規格サイズと、あとはモーター筐体の高さだけでベースが生成されます。

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他には、シャフト部分と、プーリーヘッドの2つのパーツもおまけで生成されています。

モーター本体とプーリーは別々のボディとして生成されるので、プーリーが要らなければ後で削除しても結構です。

3Dプリンターでの主流はタイミングベルト式が多いようにおもいますので、おまけでタイミングベルトギア用のプーリーまでモデリングできるのはありがたいです。

プーリーの寸法をちゃんと決めておきたい場合には、タイミングベルト側の規格も考慮に入れる必要があるでしょう。

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その他

他にも、卓上レーザー加工装置などにパーツのパラメトリックモデルもいくつか用意されています。

興味があれば、パーツ生成を試してみてください。


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まとめ

以上、ダイジェストでMakerワークベンチの使い方の紹介してみました。

もし自作でCNC装置や3Dプリンターの組み立てモデルを作成したい場合、FreeCADをメインで利用している場合、Makerワークベンチを使ったほうが圧倒的に省力してパーツモデリングが可能になると思います。

もちろん、部品ベンダーによっては、製品の3DCADモデルをファイルで提供しているケースも多いのですが、Makerワークベンチだと、そのような3Dモデルファイルを収集する手間も大幅に削減できるのも助かります。

記事を書いた人

記事の担当:taconocat

ナンデモ系エンジニア

電子工作を身近に知っていただけるように、材料調達からDIYのハウツーまで気になったところをできるだけ細かく記事にしてブログ配信してます。