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2024/09/20
【FreeCAD使い方講座】『Mesh Remodel』ワークベンチを使ってSTLモデルを出来だけ綺麗にソリッドへ復元する
以前の回で、Assembly4ワークベンチから動作アニメーションの基礎となるテクニックを紹介していました。【FreeCAD使い方講座】Assembly4ワークベンチを使った機構アニメーション作成の基礎「Assembly4」ワークベンチを使った部品動作のアニメーションの作成
今回はもう少し話を発展させて、「噛み合ったときの2つの歯車の連動動作」をアニメーションさせる方法を検討します。実際にはFreeCADのアニメーションでは、衝突などの物理現象をシミュレーションしているわけではないので、部品の位置や位相を"それっぽく見える"ようにパラメータを手動で調整をする必要があります。特に回転運動は中心軸の位置や、部品の初期座標などがあやふやだと、アニメーションの結果がうまく行かなくなることが多いので、前もってしっかりと理解を深めておきましょう。
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以降では、前回説明した「Assembly4」ワークベンチによるアニメーション作成の基本とだいたい同じ流れで作業を進めていきます。【FreeCAD初心者ガイド】FreeCADで詳細な歯車形状を作成するやり方詳細な歯車形状を作成したい場合に便利な「Gears」ワークベンチの使い方を紹介します。
Assembly4ワークベンチの使い方に慣れていない場合には、一度そちらの内容から着手してみてください。歯車部品のソリッドモデルを作成する
歯車の3Dモデルを簡単に作成してくれる「Gearワークベンチ」を利用して、歯数が同数で、歯の形状が噛み合う2つのインボリュートギアを位置合わせしておきましょう。アニメーション用の変数・ボーン(スケッチ)・LCSを作成する
Assembly4ワークベンチでアニメーションを作成する手順は前回の記事で説明しています。基本操作が良く思い出せない方はまずそちらをご覧ください。まず[Assembly4]
ワークベンチに切り替え、[New Assembly]
でアセンブリオブジェクトを作成しましょう。続いてVariables(変数)
を用意します。ここでも回転角度用にtheta
という名前で変数を一つセットしておきましょう。次にアセンブリオブジェクトにスケッチを適当な名前で1つ追加します。このスケッチは、主歯車の回転用にします。なお、今回はより複雑なアニメーション作成を念頭に、スケッチを複数に分離し、別々のボーンとして管理します。とはいえアニメーションが複雑でないならば、スケッチを分離する必要もないので、1つのスケッチにまとめて複数のボーンをまとめるやり方のほうが一般的です。では、スケッチの原点座標がアセンブリオブジェクトのローカル座標系(LCS)と一致させるため、アタッチメントでLCS_Origin
を指定しておきましょう(アタッチメントモードは回転平面を指定)。ちなみに、複数のスケッチを作成する場合でも、スケッチには必ずアセンブリオブジェクトの原点(LCS_Origin
)をアタッチしてしないといけません。というのは、アセンブリオブジェクトに紐付けされているVariablesをLCS_Origin
経由で、スケッチのパラメータに反映させることでアニメーションを連続的に動かしています。そのスケッチに、また別のLCSをリンクさせ、さらにそのLCS経由で部品をスケッチの動きと連動させた結果がアニメーションになります。ここらへんの仕組みがちょっとややこしいですが、Assemby4ワークベンチによるアニメーション作成では「スケッチにはアセンブリオブジェクトの原点(LCS)をアタッチする必要がある」、とだけ頭に置かれておいておくと良いでしょう。話を戻して、スケッチを編集し、回転用のボーンとなる直線を1つ描き、角度拘束で変数theta
を割り当ててみます。この時点ではアニメーション用のボーンは一つですが、思ったように回転してくれるかチェックしてみましょう。ボーンが期待通りに軸回転していることが確認できれば、部品の配置用に、このスケッチをターゲットにして新しいLCSを追加します。LCSには、ボーンの端点(回転の起点)
、ボーン線
、の順序でアタッチしておきましょう。なお、FreeCADでのアタッチメントの細かい点に関しては、以前に特集した記事をご覧ください。【FreeCAD使い方講座】FreeCADでのオブジェクトのアタッチメントFreeCADにおけるオブジェクトの「アタッチメント」の基本テクニック
次に従属歯車用にスケッチをもう一つ追加します。こちらのスケッチも先程の主歯車のスケッチと作業的には同じことを繰り返します。ただし回転軸の座標は異なるので、従属歯車の初期位置をプロパティから読み取って、その値を控えておきましょう。続いて、新しく追加したスケッチに適当にボーンとなる直線を描き、回転中心となる端点に先程控えておいた従属歯車の中心座標へ手動で位置拘束を設定しておきます。ここでの角度拘束に指定する値は、18 - Variables.theta
とすることで、従属歯車にオフセット&逆回転を表現しています。ちゃんと2つの歯車がが相互に反対方向へ軸回転しているのを確認できればアニメーションの骨格付けが完了です。あとは、このスケッチにも回転中心点とボーン線を指定し、部品配置用のLCSを新規で追加しておきます。
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では、先程の作成したアニメーション用のボーンをターゲットに追加したLCSを使って、各歯車モデルを配置していきます。前回も説明したようにアセンブリオブジェクトで部品モデルを登録するためには、Parts
グループ以下に、ボディとしてソリッドモデルを配置する必要がありました。ただし、ソリッドからボディへ変換すると、ソリッドの位置座標はボディのそれに置き換わるため、ソリッドで位置合わせした情報はそこでリセットされてしまいます。ということで、Assembly4での部品配置を決める上でも、先程各スケッチの位置から設定したLCSが重要になってきます。まず主歯車のボディをアセンブリオブジェクトへ挿入します。これで主歯車のボディの座標系と、スケッチに設定した座標系LCS_1
との間にリンクができました。同様に、従属歯車のボディの座標系と、もう一つのスケッチに設定したLCS_2
との間にもリンクを作成しておきます。早速、アニメーションを実行してみましょう。2つの歯車がいい感じで噛み合っているように動いています。
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今回は部品が連動して動くシミュレーションの基礎的な例題として、2つの歯車が噛み合って動くときのアニメーションを作成する方法を順を追って説明していきました。今回のテクニックを基礎とすることで、より複雑な動作アニメーションもAssembly4ワークベンチで作ることが可能になります。