【FreeCAD使い方講座】FreeCADでのオブジェクトのアタッチメント


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FreeCADにおける
「アタッチメント(Attachment)」 とは、選択中の形状オブジェクトを、基準となる別の形状オブジェクトへ配置することを指します。
アタッチメント可能な形状オブジェクトとアタッチメント方法にもいくつか種類があります。
ここではFreeCADでのアタッチメントの基本となる使い方を図解していきます。


アタッチメントの基本



アタッチメントの基本的な操作から理解してみましょう。

簡単な操作一例



ソリッド(立体形状オブジェクト)なら何でも良いのですが、簡単のため
[Part] ワークベンチから基本図形の 立方体 を1つ作成しておきます。
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ついで、
[Draft] ワークベンチから単純なフェイス(面形状オブジェクト)を作成しておきます。
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FreeCADのアタッチメントの概念は、
「移動したいアタッチメント元のオブジェクト」を「移動場所となるアタッチメント先のオブジェクト」へ「特定のルール」で移動させる 、ということになります。
少し使い方で混乱が生じやすいのは、「移動元オブジェクト」と「移動先オブジェクト」の2つがセットになって存在しているため、どちらにアタッチメントを設定すべきか紛らわしい点です。
正解から言うと、アタッチメントを設定するのは
"移動させたいほう"の「移動元オブジェクト」 です。
例えば先程のフェイスをソリッド(の特定の場所)へ移動させたいとしましょう。
フェイスのほうを移動させたいので、アタッチメントの設定対象とするのはこの場合フェイスです。
フェイスを選択し、コンボビューのデータ欄から、
[Attachment] > [Map Mode] の右側にあるボタンをクリックします。
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すると
Attachment 設定のボックス欄が表示されますので、例えば 参照1 / 参照2 / 参照3 を使って、ソリッド上の適当な3点を選んでみましょう。
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これで
[OK] ボタンで確定すると、フェイスが選択した3点から張られる平面上に移動していることが分かります。
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とはいえ、オブジェクトの移動後の初期位置はシステムによる自動計算なので、思うような位置に張り付かないことがあります。
そこで期待どうりの位置に微調整できるように、
Attachment 設定の アタッチメント・オフセット 量を手動で入力していきます。
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なおここでのオフセットに使う
XYZ軸 とは、アタッチメントモードによって決まったローカル座標に従う軸になります。
せっかくなのでもう一例やってみます。
続けざまにソリッドをフェイスに移動するようなアタッチメントをやってみましょう。
今度はフェイスが動かないように、アタッチメントモードを
非アクティブ化 しておきます。
個別にデタッチ(非アクティブ化)する場合には、
[Attachment]設定 > [アタッチメントモード] > 非アクティブ化 に切り替えます。
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もしくはリンクしたオブジェクト情報ごと消し去る場合、オブジェクトのプロパティから
[Attachment] > [Support] の右のボタンをクリックし、 リンク 設定から [クリア] ボタンで消去することもできます。
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前述したように今度はソリッドのほうにアタッチメントを設定することで、フェイス上の期待した位置に移動することができます。
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アタッチメントモード



先程のアタッチメント操作の概要でも出てきたように、狙った位置にオブジェクトを移動させるための重要な項目に「アタッチメントモード」があります。
アタッチメントモードとしては以下のようなものがあります。



モード名 概要 参照の組み合わせ
非アクティブ化 アタッチメントを無効にする
原点を移動 原点を頂点と一致するように配置 (頂点)
オブジェクトのXY 移動先のオブジェクトのローカルXY面上に配置 (任意のオブジェクト)
オブジェクトのXZ 移動先のオブジェクトのローカルXZ面上に配置 (任意のオブジェクト)
オブジェクトのYZ 移動先のオブジェクトのローカルYZ面上に配置 (任意のオブジェクト)
平面 指定した平面と一致するよう配置 (平面)
表面に正接 指定した頂点と表面が接するように配置 (頂点, 平面)
エッジに垂直 指定したエッジに垂直になるように配置 (エッジ) / (頂点, エッジ)
3点から決まる平面 指定された3点を通過する面に配置 (頂点, 頂点, 頂点) / (頂点, 直線) / (直線, 直線)
3点に対して垂直 指定された最初の2点を通過し、かつ指定した3点で定義される面に垂直となるように配置 (頂点, 頂点, 頂点) / (頂点, 直線) / (直線, 直線)
配置 O-N-X 指定順に形状の原点 -> Z方向 -> X 方向を頂点または辺で指定 (頂点, 頂点, 頂点) / (頂点, 頂点, 直線) / (頂点, 直線, 直線)/ (頂点, 頂点) / (直線, 直線)
配置 O-N-Y 指定順に形状の原点 -> Z方向 -> Y 方向を頂点または辺で指定 (頂点, 頂点, 頂点) / (頂点, 頂点, 直線) / (頂点, 直線, 直線)/ (頂点, 頂点) / (直線, 直線)
配置 O-X-Y 指定順に形状の原点 -> X方向 -> Y 方向を頂点または辺で指定 (頂点, 頂点, 頂点) / (頂点, 頂点, 直線) / (頂点, 直線, 直線)/ (頂点, 頂点) / (直線, 直線)
配置 O-X-N 指定順に形状の原点 -> X方向 -> Z 方向を頂点または辺で指定 (頂点, 頂点, 頂点) / (頂点, 頂点, 直線) / (頂点, 直線, 直線)/ (頂点, 頂点) / (直線, 直線)
配置 O-Y-N 指定順に形状の原点 -> Y方向 -> Z 方向を頂点または辺で指定 (頂点, 頂点, 頂点) / (頂点, 頂点, 直線) / (頂点, 直線, 直線)/ (頂点, 頂点) / (直線, 直線)
配置 O-Y-X 指定順に形状の原点 -> Y方向 -> X 方向を頂点または辺で指定 (頂点, 頂点, 頂点) / (頂点, 頂点, 直線) / (頂点, 直線, 直線)/ (頂点, 頂点) / (直線, 直線)


他のより詳しいアタッチメントモードに関しては以下のドキュメントをご覧ください。

参考|Part EditAttachment

スケッチにオブジェクトをアタッチメントする



アタッチメントで良く行う操作にスケッチをオブジェクトへ移動させる場合はあります。
FreeCADではスケッチもアタッチメント可能なオブジェクトになっています。
例えば
[Sketcher] ワークベンチから空のスケッチを新規作成しておき、これをソリッドへアタッチメントさせてみます。
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アタッチメントのやり方は、先程のオブジェクトの場合と同様ですが、指定できるアタッチメントモードはかなり限定的になります。
このためスケッチはほぼ任意の平面へしかアタッチメントできないので、より複雑なアタッチメントにはオフセット量を調整して移動させます。
スケッチにアタッチメントを利用することで、柔軟なモデリングの設計が可能となります。
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まとめ



今回はFreeCADの基本テクニックのうち、「オブジェクトのアタッチメント」に付いて解説していきました。
アタッチメントの使い方の理解を深めることによって、より高度な3Dモデリングが可能となりますので、じっくりと使いこなしておきましょう。