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2024/07/10
『Creality・Ender-3』向けのエクストルーダー拡張キットを取り付ける
3Dプリントした後で余ったフィラメントをロウソク1本で繋げる技を試してみる
3Dプリンターでネジとナットを作成して、嵌め合わせの構造を利用したい場合が結構あります。3Dプリンターの出力精度では、あまり細かい目のネジサイズを出力することが困難であるため、通常は加工のしやすさから考えてストレートの円筒に市販のネジ切りタップでネジ形状を後付する方法がベターです。FreeCADの「Fastenersワークベンチ」を使うと、通常ではお目にかかれない工業規格外のネジ径やピッチをもつネジのカスタマイズが可能です。【FreeCAD初心者ガイド】FreeCADで規格ボルト用のネジ溝を作成する工業ネジ規格に則したネジ形状を作成したい場合に便利な「Fasteners」ワークベンチの使い方を紹介します。
でも、独自にカスタマイズしたネジ形状を付けるような市販のネジ切りタップは存在しないでしょうし、このようなネジの勘合を行いたい場合には、3Dプリンターの出力精度を高くして、出力一発で噛み合うようなオネジ・メネジに仕上げないといけません。
Ender-3 歯車 クリアランス無調整のネジの勘合状態
FreeCADのFastenersワークベンチを使えば、パラメトリックなネジ形状をワンクリックで作成することができます。当然ですが、作成されるオネジ・メネジの寸法は工業規格の規格通りに出力されます。以下は、Fastenersワークベンチで作成したM6ネジとナットの例です。はめ合いの様子を断面化してみましょう。このネジとナットを2つ選択した状態から、[Part]ワークベンチ > [断面]ツール
で、断面化することが可能です。見てのように、ネジ山と谷には若干の隙間があるものの、ネジの表面同士は稠密に隙間もなく接するような構造をしています。市販の工業製品としてのネジやナットは機械加工されており、その高い加工精度からオネジもメネジもスムーズに嵌め合うことが可能になっています。このような構造を市販の3Dプリンターで一発出力しようと思うと、ほぼ限りなく不可能です。プラスチックは印刷直後からの冷却によって固まる過程でどうしても熱変形していくので、多かれ少なかれ計算上の寸法からズレが生じる運命にあります。そこで今回は、熱変形分を元の指定寸法から調整して、そのままネジで嵌るような値を評価してみます。
Ender-3 歯車 実際の印刷物でネジの嵌め合いを評価する
3Dプリンターによる出力物の熱変形は、材料の特性や形状による内部ひずみ応力の分布具合で、一概に寸法が大きくなる・小さくなるとは言えませんが、PLAは円筒形状に印刷する場合、印刷する水平面の外側方向により広がるような特性があります。つまりは、今回の評価で言えば、オネジの外形を小さくとるか、メネジの内径を大きくとるか、の2通りの方法が考えられます。ここは好みの問題ですが、オネジの外形を小さくしていく方法で調整していきます。評価で利用するネジ・ナットがセットになっているモデルはthingiverse等で公開されているファイルを適当にアレンジしたものを利用します。例えばアジャスタブルな幅にできるスマホホルダーの固定具のオネジの外形を変えたものをいくつか用意しておきます。印刷後に、ナットを取り付けて嵌め合い具合を評価します。結果は以下のようになり、(元の外径) x 0.90
したもので、ようやくナットを根本まで回すことができました。ちなみに、0.90の3Dモデルの断面がおおよそ以下のようなクリアランスのイメージになります。これでも0.90でようやく回るようになったというだけで、気持ちはもっとスムーズに入るように0.9以下のほうが良いでしょう。また、これはあくまでも著者の現場限りの条件での話ですので、ご自分で試される場合には、多少の調整が必要になることをお忘れなく。
Ender-3 歯車 まとめ
今回は3Dプリンター一発出力でも勘合可能なネジ(オネジ)とナット(メネジ)のクリアランスの設定を実際の印刷を行って評価してみました。