【FreeCAD初心者ガイド】Draft&Partワークベンチを使って面を面で切り取るときのワンポイントアドバイス
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2024/02/28

FreeCADからモデリング作業を終えて、いざ完成したかのように見える3DモデルをSTLファイルなどでエクスポートしたファイルを3Dプリンター用のスライサーソフトで読み込むと、モデルの一部分が破損・欠損していた...という経験が結構あります。
これは使用するCAD系のソフトウェアの設定にもよるのですが、FreeCADでは"欠損"としてはみなされずに許容されてしまうノード・エッジ間のギャップも、他のソフト上では欠損扱いされてしまうという一種のファイル互換性の問題です。
こういった問題に直面すると、一旦、FreeCADでのモデリング作業に立ち戻り、その微妙な"欠損"のあるフェイス(面)を作り直す必要があります。
FreeCADでのフェイスレベルの修正を行うのは主に、
この2つのツールはそれぞれがとても様々な機能を持っていて、扱うときに細かい操作ルールがあります。
今回は
面同士のくり抜き(Subtraction)にはDraftワークベンチの「ダウングレード」を使おう
このブログでも頻繁に取り上げてきた通り、FreeCADのノード・エッジ・ワイヤー・フェイス・シェルの5大要素の手動による編集は主に
エッジやワイヤーだと、
全てのフェイスを閉じたあとで、いざ面を切り取りを開始する際には、まず最初に
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上の図でいうと、
フェイスb
フェイスb
続いて、
これは複数連続で選択していっても構いません。
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切り抜きの対象となるフェイスを全て選んだあとで、
[ダウングレード]
操作の手順を簡単にまとめると以下の通りです。
1. 閉じたフェイス同士でしか正しく切り抜けない(エッジやワイヤーではダメ)
2. 対象のフェイスは全て同一平面上に存在している
3. 切り抜かれる面は最初に選択しなければならない
4. 切り抜きたい形状になる面は2番目以降で複数選択することができる
平面を1枚1枚ずつ慎重に切りたい場合はPartワークベンチ
もう一つ、面の切り抜きは、
Draftベンチと比べ、作業効率は劣るものの、平面同士の切り抜き、貼り合わせ、形状の状態チェックなどのツールで慎重に一つ一つ細かく編集操作する場合に便利です。
注意点として、同時に作業できるのは「切り取られる面」と「切り取りたい形状になる面」の2つのフェイスでしか切り取りできないという点です。
切り取りたい形状のフェイスが非常に多い場合、切り取りを何度も実行しないといけないのは結構手間です。
こちらも先程解説したDraftワークベンチ同様、最初に「切り取られる面」を選択し、次に「切り取りたい形状になる面」を選択する、"順序ルール"があります。
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切り取りにはPartワークベンチのメニューから
[切り取り]
また別に
[Cutout for Object]
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Partワークベンチでの面の切り抜き自体は、Partワークベンチで作業していて、Draftワークベンチに切り替えるのに面倒なときに使うくらいのテクニックになるのかもしれません。
同一平面とみなされるのはどのくらいまで?
今回のお話は上述したパートの内容でおしまいですが、余談として
パーツ数が増えてきて、より3D図面が複雑な形状になってくると、見た目では変なところは内のに、なぜか平面の切り抜きが上手くいかない...という経験もあることでしょう。
その場合、フェイスだと思っていたらワイヤーだったり、フェイスが微妙にずれていて同一平面になかったりと、とにかく目には見えないところで躓く可能性があります。
ではどこまでのズレが「同一平面」として許容されているのか、デフォルトの環境でチェックしてみましょう。
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その寸法差なんと45nm未満...大きめのウイルス1個分あるかないかの長さですので、モニターを拡大してもまず目視は不可能です。 (※ビューを動かしたときに、若干フェイスの重複のチラつきで差があるような...くらい微かな違いはあります)
もし手動で修正しようとしたら、エッジかノードにすべて分解して、ずれている座標を探して、同一平面上に移動したら、貼り合わせできるかもしれません。
その場合、どこがずれているか探すまでに骨が折れそうですが...。
こういった目視できない同一平面からのズレは、製図が最終段階に近づけば近づくほど、修正作業は困難を極めます。
後々悲惨な結末にならないように、製図の初期段階から、Partワークベンチの
[ソリッドに変換]
[幾何形状のチェック]
とにかく、FreeCADでの「同一平面」とは、数学的に厳密な同一平面ではなく、「空間的距離で許容できる差をもつ面と面の関係性」くらいの意味合いしかありません。
まとめ
今回は個人的な経験から、「最終的にソリッド化できなくなってしまう3Dモデル」をいかに未然に防ぐかを考える上でも重要な基本テクニックである、「複数のフェイス同士の切り取り」の話を解説していきました。
ここらへんはSketcherワークベンチから2D図面を引いて、Part Designワークベンチでソリッドをゴリゴリ押し出し/切り取りしていくスタイルの使い方だとあまり意識する内容では無いかもしれません。
FreeCADの扱いに慣れてきて、より高度なツールであるDraftワークベンチを使いこなしたいという方は、必須なテクニックになるので、よく理解しておきましょう。