【FreeCAD初心者ガイド】Curvesワークベンチで自由曲面へパンチングパターンを作成する


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2023/09/30
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蛸壺の中の工作室|Curvesワークベンチで自由曲面へパンチングパターンを作成する



よく利用される外部のワークベンチとして、
「Curvesワークベンチ」 があります。
Curvesワークベンチを使えば標準のワークベンチでは難しいモデリング形状を比較的簡単に行うことができます。
今回はCurvesワークベンチの使い方ガイダンス的な内容で、どのように便利なのかをチラッと紹介してみます。


Curvesワークベンチをインストール



Curvesワークベンチは
「アドオンマネージャ」 からインストールすることが可能です。
トップのメニューバーより、
[ツール] > [Addon Manager] から、 Curves workbench を選択します。
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ページ右上の
[インストール] ボタンを押すとインストールが始まります。
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再起動すると、
Curvesワークベンチ が利用可能になります。
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Curvesワークベンチには見ての通り、いろいろなツールが使えるようになっています。
どれを使えばよいか目移りしそうですが、以降で紹介するように、ほぼ
Sketch-on-Surface ツールをメインで利用する場合がほとんどかもしれません。
奥の深いワークベンチですので、他のツールの利用法を徹底的に理解されたい方は、公式のドキュメントを読み込んでみましょう。

参考|Curves Workbench

Curvesワークベンチの使い方



ここからは「Curvesワークベンチ」の基本と、ちょっとした応用として円筒形状にパンチ穴パターンをつける方法を紹介してみます。

使い方の基本 〜 Sketch-on-Surfaceツールを理解する



Curvesワークベンチでもっとも利用頻度が高いツールが
「Sketch-on-Surface」 です。
とりあえずこれがどのようなツールかとざっと説明します。
とりあえず
Part ワークベンチに移り、基本図形でどれを選んでも良いのですが、ここでは例えば単純な 円錐 を追加します。
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次にCurvesワークベンチに移り、パスを巻き付けたい先のサーフェスを選択して、
[Surfaces] > [Sketch on surface] か、ツールセットにあるアイコンをを選択します。
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では生成されたボディ以下に配置された
Mapped Sketch を開いてみます。
自動でセットされたスケッチは、XY平面に置かれた矩形で表現されています。
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この矩形内の範囲で、追加で描いたスケッチが
UVテクスチャ面 として、選択した図形へとマッピング投影されるようになります。
ものは試しで、適当に直線を描いてみます。
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Mapped Sketch が修正されると、 Sketch_On_Surface ボディに描画した図形のマッピング処理が開始します。
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問題が無い場合、指定した曲面に図形がピッタリ張り付きました。
なお、設定したUV曲面は、U軸方向/V軸方向や、面の裏表をどちらに取るかなど自由に設定が変えられます。

パンチングホールパターンをつける



もう少し応用を考えてみましょう。
Curvesワークベンチの真骨頂は、自由曲面に対して、文字などの複雑な形状にも対応できる点にあります。
再び
Partワークベンチ から、今度は厚み1mmの適当なサイズの円筒形状を作成します。
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Curves ワークベンチから、内側の円筒にSketch-on-Surfaceを適用します。
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生成されたUV面のスケッチを見ると、以下のようになっています。
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画面、長い方の辺が円筒の巻き付き方向、短い方が高さ方向のようです。
次に
Draftワークベンチ で作業したいのですが、 Sketchワークベンチ と併用した作業ができないので、DraftワークベンチでもUV面の範囲が見えるような枠を作ります。
Draftワークベンチに移って、適当に矩形を描きます。
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この矩形にSketchワークベンチから読み取ったUVマッピング範囲の諸元(幅、高さ、原点)を読み取って、そのまま重なるようにこの図形に大きさを修正します。
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この四角の範囲でDraftワークベンチ中での補助線として利用します。
次に一つのホール穴の形状を円で描きます。
この円に
Arrayツール を適用します。
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とりあえずここでは高さ方向(y方向)へ枠に詰めれるだけ複製します。
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この複製をさらに
Arrayツール で複製します。
同じように円筒巻き付け方向(x方向)へ枠に詰めれるだけ複製します。
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これでパンチングホールパターンが出来たのですが、図形の数が多いので、対象の
Sketch_On_Surface ボディに図形をリンクさせてしまうと、即時重いマッピング処理が始まってしまいます。
そこで計算が始まる前に、余計な再計算をさせないように、先にソリッド化の設定を済ませておきましょう。
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まずは
Fill Faces: true でラインだった円を閉じて面にします。
次に、1mm幅の円筒の内面を基準として、
Offset: -1.0 で円筒外面にあたる位置まで下げます。
そこから
Thickness で円筒よりも厚み(1.0mm以上)をつけるためひとまず Thickness: 2.0 を指定します。
設定が終わったら、マッピング図形を
Sketch_On_Surface ボディにリンクさせます。

Sketch_On_Surface ボディのプロパティから、 [Extra Objects] を開いて、パターンニングしたい図形をリンクさせてみます。
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細かく複雑なパターンほど曲面に貼り付ける際の計算に負荷がかかります。
場合によってはしょぼいスペックのPCだと、かなり時間がかかるかもしれません。
あまりにも時間がかかったり、負荷が大きすぎて計算が終わらないようなら、パターンをいくつかに分割しながら実行してみてください。
処理が上手く行ったら、カット図形のソリッド化が成功しました。
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では仕上げに、円筒からソリッド化したパンチングパターンを減算してみます。

Partワークベンチ から図形カットツールを、円筒とカット図形で適用させます。
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こちらも減算するパートが多いので、処理完了までにかなりの時間がかかるかもしれません。
上手く処理が完了したら、円筒にパンチングホールパターンを生成させることができました。
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こういった図形はやはり
Curvesワークベンチ でしか作るのは難しいため、何かと頼りになるツールセットです。


まとめ



今回は
Curves ワークベンチの導入から、その基本的な使い方を紹介させていただきました。
見ての通り、
自由曲面に図形を貼り付ける ことに特化したワークベンチですので、アイデア次第で応用の幅もかなり考えられることでしょう。
またどこかの機会があれば、Curvesワークベンチの利用例も紹介していきたいと思います。