【FreeCAD初心者ガイド】Debian LinuxにFreeCAD v0.21をパッケージインストールする方法


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2020/04/24
2023/09/28
【FreeCAD初心者ガイド】SVG画像から印鑑を3dモデリングして光学3dプリンターで出力する

かねてより3Dモデリングでお世話になっている無償で利用できる高機能3次元CAD・
FreeCADは、Windows版、Mac版などはインストーラーをダウンロードして簡単にソフトウェアを導入できます。

Linuxの場合は少しだけ作法が違い、コマンドコンソールやパッケージマネージャを利用することでインストールが可能です。

『FreeCAD』は完全無償の3DCADです。

かといって、他の有償の3次元CADと比較しても遜色ないほど高機能で、もはや機械設計のエキスパートエンジニア向けのソフトウェアといっても過言ではありません。

逆に、高度に3次元CADを使いこなす機械分野のプロフェッショナルな方ほど、UNIXのシュルコマンドの知識はさほど勉強してなかったりして、LinuxへのFreeCADの導入には苦手意識を持たれたり、なんとなく倦厭されているケースも多いようです。

実際、
「FreeCAD Linux インストール」でワード検索しても、コマンドコンソールからのインストール方法が主にヒットしますので、FreeCADを仕事で使いたいけど、Linuxコマンドを使うのは気が進まない機械分野の方からすると、Linuxをメインで仕事で利用するのは億劫になるかも知れません。

ともあれ今回はDebian Linuxに「FreeCAD」をGUIインストールする手順をご紹介しておきます。

なお現在の記事の修正時点(2022/8月)で、FreeCADバイナリ版の最新安定バージョンは
v0.21になっています。

Linuxでも最新版を使ってみたい方は、バイナリ版をダウンロードしてから直接プログラム起動すると利用可能です。

参考|Current stable version: 0.21

Debian Linuxの場合、通常のパッケージマネージャー(
apt)からは、FreeCAD v0.21のパッケージインストールに対応していないようです(v0.19止まり)。

以前の記事で紹介していた
「v0.19」のインストール方法は比較のため、この記事に後半に残しておきます。

このDebianの
「デフォルトマネージャーから提供されるFreeCADが古い」という状況が中々解決しないので、サードパーティから提供される幅広いLinuxディストリビューションで使える『snap』を使って「v0.21」の安定版を導入する方法を紹介します。

            + Debian LinuxへのFreeCADのインストールで「apt」の利用は要注意
+ FreeCADをインストールするには高機能パッケージマネージャ「snap」を使うと良い
        


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「snap」からFReeCAD v0.21系を簡単インストール

インストール作業を始める前に、現在の著者のDebianのバージョンは以下のようになっています。

            $ lsb_release -a
Distributor ID: Debian
Description: Debian GNU/Linux 11 (bullseye)
Release: 11
Codename: bullseye
        
注意点として、FreeCADがv0.18からv0.19へ移行するときに、python2系から3系、PyQt4からPyQt5に大幅に仕様変更があったため、Debian11以降のOSでなければFreeCAD v.19以降が動かなくなってしまいました。

もしお手元のLinuxでFreeCADが動かない場合には、OSのカーネルレベルのアップグレードを一度試してみてください。

ではまず
『snap』をインストールするところから始めます。

snapプログラムは、本体である
『snapd』という常駐デーモンのユーティリティプログラムの一つで、Debianの場合以下のようにすると、併せてsnapコマンドも導入することができます。

            $ sudo apt install snapd
$ snap --version
snap    2.49-1+deb11u2
snapd   2.49-1+deb11u2
series  16
debian  11
kernel  5.10.0-21-amd64
        
無事にsnapコマンドが使えるようになったら後はFreeCADの導入は一発です。

            #👇FreeCAD v0.21の安定版をインストールする
$ sudo snap install freecad

#👇もしくは開発中のEdge版を利用する
$ sudo snap install --edge freecad
        
特に最新のアドオンを使う必要もなければ、安定版のインストールで事足りると思います。

なお、snapからのパッケージインストール直前にはrootのパスワードを要求されます。

snapを初回に使うときに、
/snap/binのパスが環境変数に通っていない、という警告が出てくる場合があります。

こういう警告が出てしまった場合には、いくつか対処法がありますが、Debian OS系の場合の定石的な処置として、
.bashrc/snap/binを登録しましょう。

            $ echo 'export PATH=$PATH:/snap/bin' >> ~/.bashrc
$ source ~/.bashrc
        
正常にパスが通ると、freecadが利用可能な状態となっています。

Edge版で注意が必要なのが、内部のpythonライブラリは最新の組み込み関数等が使えてるのですが、通常「アドオンマネージャ」から利用できるワークベンチが内部のpythonに非対応になるため、既存のマクロ等の動作は保証されません。

もし、Edge版を入れてしまったため、安定版に戻したい場合、一旦snapからfreecadをアンインストールしましょう。

            $ sudo snap remove freecad
        
そして、再度安定版をsnapで入れ直します。

さて、インストール後はFreeCADのバージョンを確認してみます。

            $ freecad --version
FreeCAD 0.21.1, Libs: 0.21.1R33668 +26 (Git)
        
ちゃんと「v0.21」がインストールされています。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

アプリケーションの起動もターミナルからコマンドで行います。

            $ freecad
        
ちゃんとFreeCADが起動してきたら問題なく使えるはずです。

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非推奨なFreeCADのインストール方法(旧式)

ここからは以前紹介していた「v0.19」をパッケージインストールする方法に関する内容です。

まずは正攻法で、
aptコマンドでインストール可能なパッケージを確認します。

Linuxに慣れてくると、CUIの操作の方が圧倒的に早いので、コンソールからのインストール方法も比較として載せておきましょう。

apt searchでインストール候補一覧を表示することができます。

            $ apt search freecad
ソート中... 完了
全文検索... 完了
fonts-osifont/stable,stable 0+git20190626-2 all
  ISO 3098-compliant TrueType font for CAD projects

freecad/stable,stable 0.19.1+dfsg1-2 all
  Extensible Open Source CAx program

freecad-common/stable,stable 0.19.1+dfsg1-2 all
  Extensible Open Source CAx program - common files

freecad-python3/stable 0.19.1+dfsg1-2 amd64
  Extensible Open Source CAx program - Python 3 binaries

kicad-packages3d/stable,stable 5.1.7-1 all
  3D models for 3D viewer in KiCad's Pcbnew and Footprint Editor

libfreecad-python3-0.19/stable 0.19.1+dfsg1-2 amd64
  Extensible Open Source CAx program - Python 3 library files
        
もしくは、apt listでも同じようにインストール候補一覧が出せます。

こちらは
*で文字のワイルドカード利用出来るので便利です。

            $ apt list "*freecad*"
一覧表示... 完了
freecad-common/stable,stable 0.19.1+dfsg1-2 all
freecad-python3/stable 0.19.1+dfsg1-2 amd64
freecad-python3/stable 0.19.1+dfsg1-2 i386
freecad/stable,stable 0.19.1+dfsg1-2 all
libfreecad-python3-0.19/stable 0.19.1+dfsg1-2 amd64
libfreecad-python3-0.19/stable 0.19.1+dfsg1-2 i386
        
それでは、以下のコマンドでインストールしてみましょう。

            $ sudo apt install freecad
        
とすることで、導入完了です。

その他〜Synapticパッケージマネージャでインストール

昔はLinuxでパッケージマネージャーなんて邪道的なツール扱いでしたが...やはりLinuxが広く受け入れられていく上では、管理ツールはなくてはならない存在になっています。

Debian Lenny(Debian5)以降のディストリビューションバージョンから、公式のソフトウェアレポジトリより直接FreeCADが利用できるようになっております。

Debianで標準搭載している
「Synapticパッケージマネージャ」でFreeCADを導入してみます。

デスクトップのメニューバーから、
[管理]の項目の中に、Synapticパッケージマネージャがあるので、これを立ち上げます。

freecadで検索すると、

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

のように、
apt list freecadと同等のパッケージ一覧が表示されます。

とりあえず一覧トップの
freecadのみにチェックを入れて、上部の[適用]ボタンを押すと、

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

のように
freecadのインストールに付随する依存性のあるパッケージ一式が一覧として表示されますので、[マーク]を押して追加の承認をしましょう。

すると、依存性のあるパッケージも一覧にハイライトされます。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

インストールを実行すると、サマリーを先出ししてくれます。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

740MBほどディスク容量をとるので、余裕を持ってインストールしてください。インストールを適用して進むと、ダウンロードが始まります。

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ダウンロード後、そのままインストールも自動で始まります。

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インストールが完了すると、インストール済にチェックマークが入ります。※こちらの画像はv0.18のときのものです。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

インストールしたアプリケーションは、デスクトップのメニューバーに登録されているので、
FreeCADが起動するかテストしてみましょう。

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正常に起動出来ていることを確認したら
FreeCADの導入完了です。

今後はより実践的な
FreeCADの使いこなし講座をこのブログでも解説していこうと思いますので、よろしくお願いします。


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参照

Install on Unix

記事を書いた人

記事の担当:taconocat

ナンデモ系エンジニア

電子工作を身近に知っていただけるように、材料調達からDIYのハウツーまで気になったところをできるだけ細かく記事にしてブログ配信してます。