【FreeCAD初心者ガイド】Debian LinuxにFreeCAD(最新安定版)をパッケージインストールする方法


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2020/04/24
2025/03/25
【FreeCAD初心者ガイド】SVG画像から印鑑を3dモデリングして光学3dプリンターで出力する




かねてより3Dモデリングでお世話になっている無償で利用できる高機能3次元CAD・
FreeCAD は、Windows版、Mac版などはインストーラーをダウンロードして簡単にソフトウェアを導入できます。
Linuxの場合は少しだけ作法が違い、コマンドコンソールやパッケージマネージャを利用することでインストールが可能です。

『FreeCAD』 は完全無償の3DCADです。
かといって、他の有償の3次元CADと比較しても遜色ないほど高機能で、もはや機械設計のエキスパートエンジニア向けのソフトウェアといっても過言ではありません。
逆に、高度に3次元CADを使いこなす機械分野のプロフェッショナルな方ほど、UNIXのシュルコマンドの知識はさほど勉強してなかったりして、LinuxへのFreeCADの導入には苦手意識を持たれたり、なんとなく倦厭されているケースも多いようです。
実際、
「FreeCAD Linux インストール」 でワード検索しても、コマンドコンソールからのインストール方法が主にヒットしますので、FreeCADを仕事で使いたいけど、Linuxコマンドを使うのは気が進まない機械分野の方からすると、Linuxをメインで仕事で利用するのは億劫になるかも知れません。
ともあれ今回はDebian Linuxに「FreeCAD」をGUIインストールする手順をご紹介しておきます。
直近の記事の修正時点(2025/3月)で、少し前に話題になりましたが、FreeCADバイナリ版の最新安定バージョンで遂に
v1.0 がリリースされました。
Linux以外でも最新版を使ってみたい方は、バイナリ版をダウンロードしてから直接プログラム起動すると利用可能です。

参考|Current stable version: 1.0


Debian Linuxの場合、通常のパッケージマネージャー(
apt )からは、現在のところ安定版のFreeCAD パッケージインストールに対応していません。
以前の記事で紹介していた
「v0.19」 当時のインストール方法は比較のため、この記事に後半に残しておきます。
このDebianの
「デフォルトマネージャーから提供されるFreeCADが古い」 という状況が中々解決しないので、サードパーティから提供される幅広いLinuxディストリビューションで使える 『snap』 を使って 「v1.0」 の安定版を導入する方法を紹介します。

            + Debian LinuxへのFreeCADのインストールで「apt」の利用は要注意
+ FreeCADをインストールするには高機能パッケージマネージャ「snap」を使うと良い

        

「snap」から最新のFreeCADを簡単インストール



インストール作業を始める前に、現在の著者のDebianのバージョンは以下のようになっています。

            $ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Debian
Description:    Debian GNU/Linux 12 (bookworm)
Release:        12
Codename:       bookworm

        

なお旧式のDebian11を利用する際の注意点として、FreeCADがv0.18からv0.19へ移行するときに、python2系から3系、PyQt4からPyQt5に大幅に仕様変更があったため、Debian11以降のOSでなければFreeCAD v.19以降が動かなくなってしまいました。
もしお手元のLinuxでFreeCADが動かない場合には、OSのカーネルレベルのアップグレード(Debian12以降)を試してみてください。
ではまず
『snap』 をインストールするところから始めます。
snapプログラムは、本体である
『snapd』 という常駐デーモンのユーティリティプログラムの一つで、Debianの場合以下のようにすると、併せてsnapコマンドも導入することができます。

            $ sudo apt install snapd
$ snap --version
snap    2.67.1
snapd   2.67.1
series  16
debian  12
kernel  6.1.0-28-amd64

        

無事にsnapコマンドが使えるようになったら後はFreeCADの導入は一発です。

            #👇FreeCAD v0.21の安定版をインストールする
$ sudo snap install freecad

#👇もしくは開発中のEdge版を利用する
$ sudo snap install --edge freecad

        

特に最新のアドオンを使う必要もなければ、安定版のインストールで事足りると思います。
なお、snapからのパッケージインストール直前にはrootのパスワードを要求されます。
snapを初回に使うときに、
/snap/bin のパスが環境変数に通っていない、という警告が出てくる場合があります。
こういう警告が出てしまった場合には、いくつか対処法がありますが、Debian OS系の場合の定石的な処置として、
.bashrc/snap/bin を登録しましょう。

            $ echo 'export PATH=$PATH:/snap/bin' >> ~/.bashrc
$ source ~/.bashrc

        

正常にパスが通ると、freecadが利用可能な状態となっています。
Edge版で注意が必要なのが、内部のpythonライブラリは最新の組み込み関数等が使えてるのですが、通常「アドオンマネージャ」から利用できるワークベンチが内部のpythonに非対応になるため、既存のマクロ等の動作は保証されません。
もし、Edge版を入れてしまったため、安定版に戻したい場合、一旦snapからfreecadをアンインストールしましょう。

            $ sudo snap remove freecad

        

そして、再度安定版をsnapで入れ直します。
さて、インストール後はFreeCADのバージョンを確認してみます。

            $ freecad --version
FreeCAD 1.0.0 Revision: 38641 +468 (Git)

        

ちゃんと「v1.0」がインストールされています。
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合同会社タコスキングダム|蛸壺の技術ブログ


アプリケーションの起動もターミナルからコマンドで行います。

            $ freecad

        

ちゃんとFreeCADが起動してきたら問題なく使えるはずです。
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非推奨なFreeCADのインストール方法(旧式)



ここからは以前紹介していた
「v0.19」 をパッケージインストールする方法に関する内容です。
まずは正攻法で、
apt コマンドでインストール可能なパッケージを確認します。
Linuxに慣れてくると、CUIの操作の方が圧倒的に早いので、コンソールからのインストール方法も比較として載せておきましょう。

apt search でインストール候補一覧を表示することができます。

            $ apt search freecad
ソート中... 完了
全文検索... 完了
fonts-osifont/stable,stable 0+git20190626-2 all
  ISO 3098-compliant TrueType font for CAD projects

freecad/stable,stable 0.19.1+dfsg1-2 all
  Extensible Open Source CAx program

freecad-common/stable,stable 0.19.1+dfsg1-2 all
  Extensible Open Source CAx program - common files

freecad-python3/stable 0.19.1+dfsg1-2 amd64
  Extensible Open Source CAx program - Python 3 binaries

kicad-packages3d/stable,stable 5.1.7-1 all
  3D models for 3D viewer in KiCad's Pcbnew and Footprint Editor

libfreecad-python3-0.19/stable 0.19.1+dfsg1-2 amd64
  Extensible Open Source CAx program - Python 3 library files

        

もしくは、
apt list でも同じようにインストール候補一覧が出せます。
こちらは
* で文字のワイルドカード利用出来るので便利です。

            $ apt list "*freecad*"
一覧表示... 完了
freecad-common/stable,stable 0.19.1+dfsg1-2 all
freecad-python3/stable 0.19.1+dfsg1-2 amd64
freecad-python3/stable 0.19.1+dfsg1-2 i386
freecad/stable,stable 0.19.1+dfsg1-2 all
libfreecad-python3-0.19/stable 0.19.1+dfsg1-2 amd64
libfreecad-python3-0.19/stable 0.19.1+dfsg1-2 i386

        

それでは、以下のコマンドでインストールしてみましょう。

            $ sudo apt install freecad

        

とすることで、導入完了です。

その他〜Synapticパッケージマネージャでインストール



昔はLinuxでパッケージマネージャーなんて邪道的なツール扱いでしたが...やはりLinuxが広く受け入れられていく上では、管理ツールはなくてはならない存在になっています。

Debian Lenny(Debian5) 以降のディストリビューションバージョンから、公式のソフトウェアレポジトリより直接FreeCADが利用できるようになっております。
Debianで標準搭載している
「Synapticパッケージマネージャ」 でFreeCADを導入してみます。
デスクトップのメニューバーから、
[管理] の項目の中に、 Synapticパッケージマネージャ があるので、これを立ち上げます。

freecad で検索すると、

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のように、
apt list freecad と同等のパッケージ一覧が表示されます。
とりあえず一覧トップの
freecad のみにチェックを入れて、上部の [適用] ボタンを押すと、

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のように
freecad のインストールに付随する依存性のあるパッケージ一式が一覧として表示されますので、 [マーク] を押して追加の承認をしましょう。
すると、依存性のあるパッケージも一覧にハイライトされます。

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インストールを実行すると、サマリーを先出ししてくれます。

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740MBほどディスク容量をとるので、余裕を持ってインストールしてください。 インストールを適用して進むと、ダウンロードが始まります。

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ダウンロード後、そのままインストールも自動で始まります。

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インストールが完了すると、インストール済にチェックマークが入ります。 ※こちらの画像はv0.18のときのものです。

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インストールしたアプリケーションは、デスクトップのメニューバーに登録されているので、
FreeCAD が起動するかテストしてみましょう。

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正常に起動出来ていることを確認したら
FreeCAD の導入完了です。
今後はより実践的な
FreeCAD の使いこなし講座をこのブログでも解説していこうと思いますので、よろしくお願いします。


参照

Install on Unix