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2020/07/22
【LTspice】サブサーキットファイルでのモデル追加 〜 LM358の場合
【LTspice】バイポーラトランジスタの基本特性をシミュレーションしてみる
LTspiceでオペアンプを使った回路シミュレーションを学習するときにまず最初に理解したいのが反転増幅回路
と差動倍増回路
です。今回は復習がてらに、LTspiceでこの回路パターンのシミュレーションの基礎を簡単に説明していきます。
電子回路シミュレータ LTspice XVII 「基本操作・回路作成編」 LTspiceで動作を見ながらOPアンプ回路を理解する LM358Nデュアルオペアンプ ノーブランド品 20個 Raogoodcx 15種2N2222〜S9018 NPN/PNPパワートランジスタキット OSOYOO 電子工作基本部品セット 電子回路シミュレータ LTspice XVII 「基本操作・回路作成編」 反転増幅回路
まずオペアンプの利用法でもっとも簡単な反転増幅回路
からやっていきます。その名の通り、オペアンプの入力電圧の差を一定の増幅率で出力させる回路です。ここでオペアンプへの入力電圧をVi、出力電圧をVo、2つの抵抗はそれぞれR1,R2としておきます。またオペアンプの入力+側の電位をV+、入力ー側の電位をV−とおきます。V−の電位に着目して式を導出してみます。入力側に接続されている抵抗R1に流れる電流I1は以下の式となります。I1=R1Vi−V−Eq. (1) 理想的なオペアンプの入力インピーダンスは無限大になるため、オペアンプ側に流れ込む電流はゼロです。ということで出力側のR2へ電流I1がすべて流れるので、出力電圧Voは、Vo=V−−I1⋅R2Eq. (2) となります。式(1)と式(2)からI1を消去してみます。Vo=V−−R1Vi−V−⋅R2=V−−(Vi−V−)R1R2Eq. (3) オペアンプの重要な性質として、負帰還回路を構成する場合のイマジナリーショート(仮想短絡)
の条件により、オペアンプの入力信号と帰還信号の電位差がなくなります。つまりは、V−=V+Eq. (4) という式が成り立つので、式(3)はVo=V+−(Vi−V+)R1R2Eq. (3') となります。ところで、今回の回路はオペアンプの+入力端子はグラウンドへ落ちているのでV+=0 [V]となり、式(3')は更に簡略化され、Vo=−ViR1R2≡−γViEq. (3") という式になりました。ここでのγ≡R2/R1が増幅率となります。すなわち、入力電圧の極性が反転し、2つの抵抗から決まるγによって増幅することが分かります。LTspiceでのシミュレーション
それでは先程の式を確かめるために、反転増幅回路の一例としてLTspiceシミュレーションをやってみます。今回は適当なところでVi=12[V]、R1=10[kΩ],R2=20[kΩ]で与えてみます。このとき出力側でVo=−(20k/10k)⋅12=−24[V]となっているのを確認してみましょう。特に決まった型式のオペアンプがない場合は、LTspiceで用意されている仮想のオペアンプopamp
を利用することができます。コンポーネントセレクターから[OpAmps] --> [opamp]
を選択します。オペアンプのコンポーネントに抵抗や電源、グラウンドなどを配置・結線していきます。この辺はLTspiceの基礎的な手順ですので説明は省きます。手を動かしながら操作を覚えましょう。次に回路の配線が正しくおこなえたら、今回はDC動作点解析(.op
)をやってみます。ちなみに.op
はDC動作点解析で、各分岐点やチェックポイントの諸元を確認するための解析法です。LTspiceでの解析ではSPICE directive
と呼ばれるコメント欄で解析のスクリプトを記述していきます。まずツールボックスから[.op]
アイコンをクリックすると、テキストエディターのダイアログがポップアップします。コメント欄の特性がSPICE directive
になっていることを確認し、以下のスクリプトをテキストエリアに追加します。ここでは.lib
コマンドで内部に用意されているopamp
用のライブラリを読みこんでくるのがポイントで、この行がないとシミュレーター上のopamp
コンポーネントが動作しません。解析スクリプトが書けた状態で、ツールボックスの人が走っているイラストのRun
ボタンを走らせることでシミュレーションがスタートします。解析が上手くいけば、計算の結果が以下のようなテキストで表示されると思います。出力電圧はほぼ-24V
となっていることが確認できます。仮想のオペアンプではありますが計算誤差も少々あるようですが、おおむね許容範囲内かと思います。
電子回路シミュレータ LTspice XVII 「基本操作・回路作成編」 LTspiceで動作を見ながらOPアンプ回路を理解する LM358Nデュアルオペアンプ ノーブランド品 20個 Raogoodcx 15種2N2222〜S9018 NPN/PNPパワートランジスタキット OSOYOO 電子工作基本部品セット 電子回路シミュレータ LTspice XVII 「基本操作・回路作成編」 差動倍増回路
もう一つのオペアンプのメジャーな使い方の差動倍増回路
です。こちらもその名の通りで2つの入力信号の電位差を一定の増幅率で出力信号へと返します。先程の反転増幅回路
との違いは2つの入力信号を使うのでVi+,Vi−の2入力電圧とおくことと、計4箇所に抵抗(図中でのR1,R2,R3,R4)を配置していることが違います。さて、上述した反転増幅回路での式(3)に着目・比較してVi→Vi−とみなすと、差動倍増回路
でもこの式が成り立つので、Vo=V−−(Vi−−V−)R1R2Eq. (5) となります。また負帰還ですので、以下のイマジナリーショートの条件も満たしています。V+=V−Eq. (6) この式(6)から式(5)を代入すると、Vo=V+−(Vi−−V+)R1R2=V+R1R1+R2−Vi−R1R2Eq. (5') 他方で入力V+側に着目すると、直列の抵抗R3とR4でVi+がそれぞれ分圧した電圧が加わっており、オペアンプ側には入力インピーダンス無限大のため電流は流れず、その分圧電圧をそれぞれV3,V4とおくと、V3=Vi+R3+R4R3,V4=V+=Vi+R3+R4R4Eq. (7) と分配されます。よってこの式(7)のV+を式(5')に代入して整理すると、Vo=Vi+R1(R3+R4)R4(R1+R2)−Vi−R1R2Eq. (5") という式を得ます。このままでは差動的には使えないため、回路上で用いる抵抗値をR1=R3,R2=R4となるように選択すると、式(5")は更に簡略化され以下のようになります。Vo=Vi+R1(R1+R2)R2(R1+R2)−Vi−R1R2=(Vi+−Vi−)R1R2≡γΔiEq. (5''') ここでγ≡R2/R1, Δi=Vi+−Vi−とおいています。この式から2つの入力端子への電圧差Δiが増幅率γで出力されていることが分かります。LTspiceでのシミュレーション
それでは先程の反転増幅回路
のシミュレーションの要領で、差動倍増回路
のシミュレーションの一例を取り上げます。とはいえ反転増幅回路で挙げた例から大幅な変更はなく、オペアンプ入力+側に2つの抵抗と電圧源を追加した程度ですが、以下のような回路図となると思います。Vi+=12[V],Vi−=7[V],R1=R3=10[kΩ],R2=R4=20[kΩ]としますと、式(5''')から、Vo=20k/10k⋅(12−7)=10[V]が得られるかを確認します。DC動作点解析を走らせて、結果をチェックすると以下のようになります。確かに出力が10Vとなっていることが確認できました。
電子回路シミュレータ LTspice XVII 「基本操作・回路作成編」 LTspiceで動作を見ながらOPアンプ回路を理解する LM358Nデュアルオペアンプ ノーブランド品 20個 Raogoodcx 15種2N2222〜S9018 NPN/PNPパワートランジスタキット OSOYOO 電子工作基本部品セット 電子回路シミュレータ LTspice XVII 「基本操作・回路作成編」 参考サイト
【差動増幅回路】『原理』&『式の導出』&『用途』について