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2022/06/05
皆さんは「遊星ギヤ機構」という少し変わったギヤをご存知でしょうか。参考サイト|遊星歯車機構-wiki身近なところだと、エスカレーター・エレベーターのような回転機構を持つ様々な機械の減速機に利用されています。
Ender-3 歯車 遊星歯車の動き方
遊星ギアは使い方(動かし方)によって応用の幅が様々あります。以下のサイトでとても分かりやすく紹介されていますので、そちらで詳しい概要の方をご確認頂くとして、このブログページでは動き方の詳細には触れません。参考サイト|遊星歯車機構 - karakurist.jp今回のブログの趣旨として、とりあえず3Dプリンターで手っ取り早くこの「遊星ギア機構」を試してみたいという方にうってつけな、オンラインで公開されているサンプルを印刷出力する際のポイントを簡単にまとめていきます。
Ender-3 歯車 遊星ギアベアリングのサンプルを出力する
フリーな3Dプリンター作品を無料でダウンロードできるThingiverse内で公開されている遊星ギアベアリングのサンプルを利用させて頂くことにします。この作品の凄いところは、一回の出力で回転可動するベアリングとして機能してしまうものが出来ることです。なので、わざわざ部品の一つ一つを別に出力して、その後で組み立てをする必要がなくなります。ダウンロード可能なタイプとして、遊星歯車が5つのものと、6つのものの2パターンを試すことが可能です。当然遊星ギアベアリングですので、印刷後に回らなければ意味がありません。内輪ギア-遊星ギア-太陽ギアは同時印刷されるのですが、そのパーツごとのクリアランス(隙間)が非常に狭いため、印刷の設定を気をつけないと、出力されても回すことが出来ません。印刷はCuraを利用しますが、先に結論だけまとめると、以下のようになりました。あくまでも、手元の3Dプリンターで行った時の条件ですので、利用する3Dプリンター機の性能で出力可能な分解能に差がありそうですが、おおよそ0.15mm以下にはしたい気持ちです。Curaでの出力分解能の設定
結論は先程の写真の通りで、ギアベアリングが問題なく動けばそれまでですが、もう少しCuraの話を掘り出してみましょう。Ultimaker Curaを使って遊星ギアベアリングを印刷する際のポイントは、出力分解能を調整することに尽きます。Curaでいう出力分解能とは、デフォルトプロファイルとして使えるようになっている一覧の中に、のように、印刷クオリティー(出力分解能)として出てくる値です。実際には、この値の代表的なパラメータとして使われているのは、「レイヤー高さ」(「初期レイヤー高さ」も含む)になります。レイヤー高さの設定が、パーツ間の水平方向のクリアランス(隙間)にも影響を及ぼすことは、今回の遊星ギアベアリングに限らず、他の一体同時印刷の出力物一般に適用されることを覚えておきましょう。
Ender-3 歯車 PLAでも潤滑グリスが使えるか検証したい
今回のようにPLAなどのプラスチックで出力したギアベアリングですが、そのままでも回ってしまえば一応はベアリングとして機能しています。ただモーターなどを利用してちょっとした高速回転などで利用してしまうと、直ぐに摩耗して利用限界が来てしまいそうなほど利用強度は無いと思います。確かに使えなくなったら3Dプリンターで出力してしまえば、何度でもベアリング交換が出来そうですが、印刷時間を考えると、できるだけ長持ちさせて使いたいものです。市販の潤滑グリスにも成分によって種類が色々ありますが、ベアリング母材は金属であることが前提と考えられてるので、PLAなどのようなプラスチックに対してだと、グリス基油にプラスチックが溶け出して逆に固着してしまうのではないか...という心配もあります。とりあえず今回は、芳香族や脂肪族系のグリスではなく、 AZJANリチウムグリス ジャバラボトル のような鉱物系ものを試しに塗布してみます。この AZJANリチウムグリス ジャバラボトル は安価で何かと手に入れ易いこともあるので、最初に試すにはもってこいです。遊星ギアベアリングはクリアランスが少し狭いため、先の細いインジェクターシリンジなどを併せて購入しておくと良いかも知れません。グリスを注入したら、暫く手でベアリングを回転させて十分に慣らします。スムーズに回るようになればとりあえずOKです。なお、数日おいてベアリングが問題なく回るかどうかをチェックしている限りでは、プラスチックの固着も無くスムーズな回転を維持しているようです。時間があれば他の種類のグリスも試してみたく思いますが、ひとまずリチウムグリスは使えそうな感触です。