[Arduino工作 〜 発展編] Arduino Uno Rev3にFreeRTOSのインストールしてLチカも試す


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2021/02/20
[LinuxでArduino!事始め編] Arduino Uno Rev3のピン配置等の基礎知識まとめと簡単なLチカ手順

前回の記事では標準的なやり方でArduino Uno Rev3のLチカを行ってみました。今回は更なる発展的な方法としてArduinoにFreeRTOSを入れた時の手順とその時のポイントをメモしておきます。


Arduino Uno Rev3 ATmega328 マイコンボード A000066

ELEGOO Arduino用UNO R3スターターキット

ESP32&Arduino 電子工作 プログラミング入門

組込みエンジニアの教科書

ArduinoでFreeRTOSを使う?

FreeRTOSは組込機器で動くオープンソースなRTOS(Real-Time OS)の一つで、近年では非常に人気がありオンラインの技術資料も充実しています。RTOSを使う意義は、一度そのプログラミング作法を身につければ、ターゲットとした組込機器にOSカーネルのインストールできる限り、ソースコードが同じような実装で動作するので、開発の再生産性が高まります。

FreeRTOSはATmega328を含むArduino製品シリーズのマイコンを広くカバーしているため、RTOSの学習を始めるにも最適です。

今回はFreeRTOSを使ったArduinoへの簡単なプログラムの書き込み方法を解説するため、以前の記事で取り上げたLチカをやって比較したいと思います。

合同会社タコスキングダム|タコツボの中の工作室
[LinuxでArduino!事始め編] Arduino Uno Rev3のピン配置等の基礎知識まとめと簡単なLチカ手順

Linux環境でArduinoIDEを使いながら、Arduino Uno Rev3を使う基礎を学んでいきます。


Arduino Uno Rev3 ATmega328 マイコンボード A000066

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FreeRTOSを使うための準備作業

RTOSを利用した組込機器の開発といっても、メインターゲットのマイコンの仕様に応じた開発環境の構築手順も様々です。基本的にはマイコンの製造元が提供しているデバッガーなどの開発ツールやユーティリティなどに合わせてプログラムのソースビルドしていくのが通常の流れかと思います。

Arduinoでは、FreeRTOSを使うための準備やプログラミングなんかもArduinoIDEから行うことができます。ここではArduinoIDEに提供されている専用のFreeRTOSライブラリをダウンロードして、そのライブラリ関数を使った適切なプログラミングを行っていきます。

まずFreeRTOSを使うための環境を準備してみます。

Arduino用にビルドされたFreeRTOSライブラリをインストール

まずは
[Library Manager]からFreeRTOSのイメージを検索しますと、

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

といった具合にイメージが探せますので、
FreeRTOS Real Time Operating System implemented for AVRをインストールしておきます。

ちなみに今回も前回に引き続きArduino Uno Rev3をターゲットにLチカさせることを目指します。もしマイコンのアーキテクチャがARMのSAMD21などであればその都度適切なFreeRTOSライブラリをインストールさせる必要があります。

これだけでFreeRTOS用のプログラムがコンパイル&書き込みされるような状態になりました🎉。

なお同時にインストールされたサンプルのソースコードで、どのようなプログラミングになるかを参考にみることができます。

サンプル例を確認するには、以下のように
[ファイル] > [スケッチ例] > [FreeRTOS]で辿ることができます。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

今回はLチカを行いたいので、一番近しい例の
Blink_AnalogReadというファイルを覗いてみます。参考のために以下ソースコードのフルバージョンを掲載させていただきましょう。

            #include <Arduino_FreeRTOS.h>

// define two tasks for Blink & AnalogRead
void TaskBlink( void *pvParameters );
void TaskAnalogRead( void *pvParameters );

// the setup function runs once when you press reset or power the board
void setup() {
  // initialize serial communication at 9600 bits per second:
  Serial.begin(9600);
  while (!Serial) {
    ; // wait for serial port to connect. Needed for native USB, on LEONARDO, MICRO, YUN, and other 32u4 based boards.
  }

  // Now set up two tasks to run independently.
  xTaskCreate(
    TaskBlink
    ,  "Blink"   // A name just for humans
    ,  128  // This stack size can be checked & adjusted by reading the Stack Highwater
    ,  NULL
    ,  2  // Priority, with 3 (configMAX_PRIORITIES - 1) being the highest, and 0 being the lowest.
    ,  NULL );

  xTaskCreate(
    TaskAnalogRead
    ,  "AnalogRead"
    ,  128  // Stack size
    ,  NULL
    ,  1  // Priority
    ,  NULL );

  // Now the task scheduler, which takes over control of scheduling individual tasks, is automatically started.
}

void loop()
{
  // Empty. Things are done in Tasks.
}

/*--------------------------------------------------*/
/*---------------------- Tasks ---------------------*/
/*--------------------------------------------------*/

void TaskBlink(void *pvParameters)  // This is a task.
{
  (void) pvParameters;

/*
  Blink
  Turns on an LED on for one second, then off for one second, repeatedly.

  Most Arduinos have an on-board LED you can control. On the UNO, LEONARDO, MEGA, and ZERO
  it is attached to digital pin 13, on MKR1000 on pin 6. LED_BUILTIN takes care
  of use the correct LED pin whatever is the board used.

  The MICRO does not have a LED_BUILTIN available. For the MICRO board please substitute
  the LED_BUILTIN definition with either LED_BUILTIN_RX or LED_BUILTIN_TX.
  e.g. pinMode(LED_BUILTIN_RX, OUTPUT); etc.

  If you want to know what pin the on-board LED is connected to on your Arduino model, check
  the Technical Specs of your board at https://www.arduino.cc/en/Main/Products

  This example code is in the public domain.

  modified 8 May 2014
  by Scott Fitzgerald

  modified 2 Sep 2016
  by Arturo Guadalupi
*/

  // initialize digital LED_BUILTIN on pin 13 as an output.
  pinMode(LED_BUILTIN, OUTPUT);

  for (;;) // A Task shall never return or exit.
  {
    digitalWrite(LED_BUILTIN, HIGH);   // turn the LED on (HIGH is the voltage level)
    vTaskDelay( 1000 / portTICK_PERIOD_MS ); // wait for one second
    digitalWrite(LED_BUILTIN, LOW);    // turn the LED off by making the voltage LOW
    vTaskDelay( 1000 / portTICK_PERIOD_MS ); // wait for one second
  }
}

void TaskAnalogRead(void *pvParameters)  // This is a task.
{
  (void) pvParameters;

/*
  AnalogReadSerial
  Reads an analog input on pin 0, prints the result to the serial monitor.
  Graphical representation is available using serial plotter (Tools > Serial Plotter menu)
  Attach the center pin of a potentiometer to pin A0, and the outside pins to +5V and ground.

  This example code is in the public domain.
*/

  for (;;)
  {
    // read the input on analog pin 0:
    int sensorValue = analogRead(A0);
    // print out the value you read:
    Serial.println(sensorValue);
    vTaskDelay(1);  // one tick delay (15ms) in between reads for stability
  }
}
        
FreeRTOSのプログラミングを進めていくと、タスク・キュー・セマフォなどの用語を色々と理解していく必要がありますが、ウェブ検索すると例えばこちらのサイトなどで詳しく解説されているので、コツコツと勉強されていってください。


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FreeRTOSでArduinoをLチカ

ここからはFreeRTOS版Lチカの実装作業を行っていきます。

ソースコードのビルド・プログラムの書き込み

まず手順としては
前回の通常のLチカの書き込み手順と全く同じで、

            1. ArduinoをPCに接続
2. 接続中のアクティブなシリアルポートを選択
3. 検証ボタンでソースコードをコンパイル
4. 書込ボタンでプログラムをマイコンへ送信
        
という流れです。

先程の参考として取り上げた
Blink_AnalogReadのソースコードを元に修正してみます。

このプログラムには2つの判例が集録されており、

            + ビルドインLED(D13ポート)が1秒間隔でチカチカ
+ ボード上のA0(D14)アナログに入力された信号を読み出し
        
という2つのタスクが定義されています。

今回はA0からのアナログ値読み出しが要らないので、以下のようにLチカさせるだけのプログラムとして整理・改造してみました。

            #include <Arduino_FreeRTOS.h>

void TaskBlink(void *pvParameters);

void setup() {
    Serial.begin(9600);
    while (!Serial) {;}
    xTaskCreate(TaskBlink, "Blink", 128, NULL, 2, NULL );
}

void loop() { }

//ビルドインLEDをチカチカさせるタスク
void TaskBlink(void *pvParameters) {
    (void) pvParameters;
    pinMode(LED_BUILTIN, OUTPUT);
    for (;;) {
        digitalWrite(LED_BUILTIN, HIGH);
        vTaskDelay(500 / portTICK_PERIOD_MS);
        digitalWrite(LED_BUILTIN, LOW);
        vTaskDelay(500 / portTICK_PERIOD_MS);
    }
}
        
後はこれを通常の手順で書き込めば完成です。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

...びっくりするくらい簡単でした💮。


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まとめ

以上、FreeRTOSを使ったArduinoプログラミングの初歩としてビルドインLEDのLチカを行ってみました。

さらに応用的なプログラムを作成するには、FreeRTOSを深く勉強していく必要がありますが、その教材としてはArduinoがもっとも優れているんではないかと思います。

不定期ではありますが、次回以降ではもっと実用的な使いこなしをブログ記事として取り上げていきたいと思います。

参考サイト

Arduino上で走るOSの作り方

マイコン徹底入門:RTOS編 STM32で始めるARM/Cortex-M3組み込み開発

ArduinoでFreeRTOS

記事を書いた人

記事の担当:taconocat

ナンデモ系エンジニア

電子工作を身近に知っていただけるように、材料調達からDIYのハウツーまで気になったところをできるだけ細かく記事にしてブログ配信してます。