KiCadでDXFファイルを活用したカスタムフットプリントの作り方
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2025/09/16

KiCadに標準で搭載されているフットプリントライブラリは非常に豊富ですが、時には特殊な部品や独自のデザインに対応したカスタムフットプリントが必要になる場面があります。特に、複雑な形状や精密な配置が求められる場合、手作業での作成は困難を伴います。
そこで今回は、
この手法を使えば、手書きでは難しい複雑なパッド形状も正確かつ効率的に設計できますので、ぜひ参考にしてみてください。
設計コンセプトと参考資料
今回作成するフットプリントは、日亜化学のLED「NSSW157T」をターゲットにします。メーカーの公式ドキュメントには、推奨されるはんだ付けパッドの形状や、放熱を考慮した設計に関する貴重な情報が記載されています。
データシートに記載されている推奨フットプリント形状も基本として抑えておくべきポイントです。

特に、メーカーの熱設計資料に示されているような、LEDを高密度で敷き詰めるためのパッド形状は非常に参考になります。

これらの情報を基に、CADソフトウェアでパッドの精密な作図から始めていきましょう。
CADによるパッド形状の作図とDXFエクスポート
まずは、フットプリントの元となるパッド形状をCADソフトウェアで作成します。
ここでは、FreeCADのスケッチャーワークベンチを利用して作図を進めます。

メーカーの資料を参考に、必要な寸法でパッドの輪郭を描いていきます。作図が完了したら、
[ファイル] > [エクスポート]
KiCadでのカスタムフットプリント作成手順
DXFファイルの準備ができたら、いよいよKiCadでの作業に移ります。以下の手順で、インポートからフットプリントの完成まで進めていきましょう。
1. フットプリントエディタの起動と新規ライブラリの作成
KiCadのプロジェクト管理画面から、

次に、作成したフットプリントを保存するためのライブラリを用意します。
[ファイル] > [新規ライブラリ]

ライブラリテーブルの選択肢では、このフットプリントを他のプロジェクトでも使いたい場合は
2. 新規フットプリントの追加と命名
作成した「My_Elem」ライブラリに、
[ファイル] > [新規フットプリント]

3. DXFファイルのインポート
いよいよ、先ほどFreeCADで作成したDXFファイルをインポートします。メニューから
[ファイル] > [インポート] > [グラフィックス]

インポートオプションのダイアログが表示されたら、以下の2点を確認します。
グラフィックレイヤー: F.Cu
(表面銅箔レイヤー) デフォルトの線幅を使用: チェックを入れる インポートされたグラフィックスアイテムをグループ化: チェックを外す

インポートが完了したら、作業しやすいようにグリッドサイズを

4. 原点の設定とポリゴンの作成
フットプリントの基準点となる
[アンカーを配置]

次に、インポートした線画を銅箔エリア(ベタ)に変換します。ベタ塗りにしたい閉じた領域の線をすべて選択し、右クリックメニューから
[選択からポリゴンを作成]

もしポリゴンが塗りつぶされない場合は、作成したポリゴンを右クリックして
[プロパティ]

5. パッドの配置とカスタム形状への統合
このままではただの銅箔エリアなので、電気的な接続点となる
右側のツールバーから
[パッドを追加]

ここからがカスタムパッド作成の核心部分です。 まず、パッドとベタエリアを統合するために、パッドの1つ(例えばパッド1)を右クリックし、
[グラフィックス形状としてパッドを編集]
次に、パッド1と、それに対応するベタエリアを選択した状態で右クリックし、
[グループ化] > [アイテムをグループ化]
最後に、再度右クリックして
[パッド編集を終了]

6. 最終確認
作成したフットプリントを保存し、回路図エディタでシンボルに割り当ててからPCBエディタで確認してみましょう。正しく表示され、配線ができればカスタムフットプリントの完成です。

まとめ
今回は、外部のCADソフトウェアで作成したDXFファイルをKiCadにインポートし、カスタム形状のフットプリントを作成する手順を解説しました。
CADソフトウェアの活用: FreeCADなどで精密な2D図面を作成し、DXF形式でエクスポートする。 KiCadへのインポート: フットプリントエディタでDXFを F.Cu
レイヤーに非グループ化状態でインポートする。 ポリゴン化: インポートした線画から塗りつぶしポリゴン(ベタ)を作成する。 パッドとの統合: 標準のSMDパッドを配置し、「グラフィックス形状としてパッドを編集」機能を使ってベタエリアとグループ化することで、カスタム形状のパッドを作成する。
この方法をマスターすれば、標準ライブラリにはない特殊な部品や、放熱性能を高めたオリジナルデザインのパッドなど、より高度な基板設計が可能になります。ぜひ、ご自身のプロジェクトで挑戦してみてください。