【2025年改訂版】Raspberry Pi OS (Bookworm) VNCリモートデスクトップ設定ガイド
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2025/08/31

最新のRaspberry Pi OS (Bookworm)では、従来のX11からWaylandへのウィンドウシステムの大幅な変更により、リモートデスクトップ環境の構築に戸惑う方も多いのではないでしょうか。 RemminaのようなX11ベースのクライアントが使えなくなり、かつて紹介していた
特にRaspberry Pi 3B+のような旧機種ではWaylandのレガシーX11モードが一部機能を補完しているものの、基本的にはWaylandに対応したVNC接続が主流となります。 しかし、現状のVNC管理ツール
本記事では、同じLAN内に接続されたRaspberry PiとクライアントPC間で、VNC Player(無償・非商用版)を使ってVNCリモートデスクトップ接続を確立する手順を、詳細に解説します。 オンライン環境での利用を検討している場合は、Raspberry Pi Connectも選択肢の一つですが、今回はローカルネットワークでの安定接続を目指します。
Raspberry Pi側でのVNCサーバー設定
ここでは、Raspberry Pi OS (Bookworm)を搭載したRaspberry PiをVNCサーバーとして設定する手順を解説します。 特にRaspberry Pi OS LiteにGUIを導入している場合の手動設定に焦点を当てます。
なお、ここでは手持ちで余っていた関係で現在ではレガシー機種となった
VNCの概要
VNC(Virtual Network Computing)は、ネットワーク経由で別のコンピュータのデスクトップ画面を操作するためのシステムです。 サーバー側のコンピュータ(今回はRaspberry Pi)でVNCサーバーを起動し、クライアント側のコンピュータ(PC)でVNCビューア(VNC Player)を使って接続することで、あたかも目の前にあるかのようにRaspberry Piのデスクトップを遠隔操作できます。
Raspberry Pi OS(フルパッケージ版)でのVNC有効化
通常のRaspberry Pi OS(Lite版でないもの)を使用している場合、以下の手順でVNCを簡単に有効にできます。
スタートメニューから「設定」→「Raspberry Piの設定」をクリックします。 設定ツールの「インターフェイス」タブを選択し、「VNC」の項目を有効にして「OK」をクリックします。 または、ターミナルで raspi-config
コマンドを実行し、 [Interface Options]
から [VNC]
を選択して有効にします。
Raspberry Pi OS Lite + GUI環境での手動設定
Raspberry Pi OS Liteに後からGUIを導入した場合、上記の自動設定では
wayvnc
1. IPアドレスの固定化 (IPv6の無効化)
VNCサーバーが正常に起動しない原因となることがあるため、Raspberry Piに割り振られたIPアドレスを一つに絞り、IPv6を無効にしておきます。
$ sudo nmtui
nmtui
Edit a connection
[Wi-Fi] > [Preconfigured]

ご自宅で利用中のLAN状況にも依りますが、ここでは一例として
192.168.179.248
2. VNC解像度の設定
raspi-config
$ sudo raspi-config
[Display Options] > [VNC Resolution]

3. VNCサーバーとwayvncのインストール
vncserver
wayvnc
# vncserver (RealVNC Server) のインストール
$ sudo apt install realvnc-vnc-server
# wayvnc のインストール
$ sudo apt install wayvnc
4. 起動順序と設定の調整
wayvnc
vncserver
まず、
vncserver-x11-serviced.service
wayvnc.service
$ sudo nano /usr/lib/systemd/system/vncserver-x11-serviced.service
以下の内容に編集し、
After=network.target
wayvnc.service
[Unit]
Description=VNC Server in Service Mode daemon
After=network.target wayvnc.service # ここにwayvnc.serviceを追加
[Service]
ExecStart=/usr/bin/vncserver-x11-serviced -fg
ExecReload=/bin/kill -HUP $MAINPID
Restart=on-failure
KillMode=process
[Install]
WantedBy=multi-user.target
変更を保存したら、systemdの設定をリロードします。
$ sudo systemctl daemon-reload
次に、
wayvnc
address=localhost
$ sudo nano /etc/wayvnc/config
以下の行を変更します。
#...
#address=::
address=localhost # ここをlocalhostに変更
#...
5. サービスの有効化と起動
wayvnc
vncserver
# wayvncの有効化と起動
$ sudo systemctl enable wayvnc
$ sudo systemctl start wayvnc
# vncserverの有効化と起動
$ sudo systemctl enable vncserver-x11-serviced
$ sudo systemctl start vncserver-x11-serviced
設定を反映させるため、Raspberry Piを再起動します。
$ sudo reboot
6. VNCサーバーの起動確認
再起動後、VNCサーバーが正常に起動しているかを確認します。
$ systemctl status wayvnc
$ systemctl status vncserver-x11-serviced
両方のサービスが
active (running)
トラブルシューティング: wayvncが問題を起こす場合
Raspberry Pi 3以前の古い機種では、
wayvnc
raspi-config
wayvnc
raspi-config
で [Advanced Options] > [Wayland] > [X11]
に切り替えて再起動を試す。 それでも改善しない場合、 raspi-config
から [Interface Options] > [VNC] > [Yes]
で通常のVNCサーバーをツールから再構築する。 もしこれで正常に起動した場合、 wayvnc
が無効になっているか確認し、起動のたびに停止するのが面倒であれば無効化しておきます。
$ systemctl status wayvnc # 状態を確認
$ sudo systemctl disable wayvnc # 無効化
クライアントPC側からVNC Playerで接続する
Raspberry Pi側の設定が完了したら、次にクライアントとなるPCからVNC Playerを使って接続します。 ここではDebian Linuxを例に解説しますが、WindowsやmacOSでも基本的な手順は同様です。
1. VNC Viewerのインストール
RealVNCの公式サイトからVNC Viewerのインストーラーをダウンロードします。
Debian Linuxの場合、「DEB x64」パッケージを選択し、「Download VNC Viewer」をクリックします。ダウンロードしたファイルのディレクトリでターミナルを開き、以下のコマンドでインストールします。
$ sudo dpkg -i VNC-Viewer-7.15.0-Linux-x64.deb # ダウンロードしたファイル名に合わせてください
インストールが完了すると、アプリケーション一覧からVNC Viewerを起動できるようになります。
2. VNC Viewerでリモート接続
VNC Viewerを初回起動すると利用規約の同意画面が表示されます。 「Send anonymous usage data...」のチェックを外し、「Start RealVNC Viewer...」をクリックして画面を閉じます。

VNC Viewerの画面上部にある入力欄に、Raspberry Piに割り振ったIPアドレスを入力します。

自動検出されれば、他の設定はデフォルトで問題ないのでダイアログで次に進みます。

もし自動検出しない場合には、Raspberry Pi側の
wayvnc
登録された接続をダブルクリックして開始します。

初めて接続するデバイスに関しては警告が出ますが、構わず「Continue」で進みます。
Raspberry Piのユーザー名とパスワードを入力します。
ウィンドウ内にRaspberry Piのデスクトップが表示されれば成功です。


画面が小さい場合は、Raspberry Pi側のVNC設定(
raspi-config
[Display Options] > [VNC Resolution]
まとめ
本記事では、Raspberry Pi OS Bookworm環境でVNCリモートデスクトップを構築する手順を詳細に解説しました。 Waylandへの移行に伴う課題を克服し、VNC Playerを使って安定した接続を実現する方法を理解いただけたかと思います。
最新のRaspberry Pi OSでは、ウィンドウシステムがX11からWaylandへ変更されたため、リモートデスクトップ環境の構築方法も変化しています。 特にRaspberry Pi OS LiteにGUIを導入した環境では、 wayvnc
と vncserver
の適切なインストールと起動順序、設定ファイルの調整が重要です。 クライアントPCからはRealVNC Viewerを使用し、Raspberry PiのIPアドレスを指定することで簡単に接続できます。 古いRaspberry Piモデルでは wayvnc
が問題を引き起こす可能性があり、その場合は無効化を検討する必要があります。
私自身、久々にRaspberry Piを扱った際にリモートデスクトップ周りの技術が刷新されており、かなり面食らいました。 古いRaspberry Piで最新のOSを使う際には、特にウィンドウシステムの変更に注意が必要です。