今回は、3Dプリンターの世界で絶大な人気を誇るCreality社の
「Enderシリーズ」 に焦点を当て、個人的な情報整理も兼ねてその魅力と選び方を徹底的に解説していきます。
Enderシリーズには、初心者の方から本格的な立体造形を楽しみたいプロフェッショナルまで、幅広いユーザーに適した製品が揃っています。 しかし、Crealityは海外メーカーのため、日本国内からの入手性が限定的で、特に古い製品は手に入れにくい(というか生産終了で入手できない)のが現状です。 また、日本での販売動向も頻繁に変わるため、この記事では最新の入手情報も踏まえつつ、Enderシリーズの製品を詳しくご紹介していきます。


Creality社ってどんな会社?

『Creality社(Creality 3D)』 は、2014年に中国の深圳(シンセン)で設立された、3Dプリンターや3Dスキャナー、関連アクセサリーの製造・販売を専門とする企業です。
「Create(創造)」「Dream(夢)」「Reality(現実)」を組み合わせた「Creality」という社名には、「誰もが楽しめる3Dプリンターを開発する」という同社の願いが込められています。 設立以来、急速に成長し、特にFDM(熱溶解積層方式)3Dプリンターの分野では世界市場で高いシェアを誇っています。 世界160以上の国と地域で300万人以上のユーザーを抱える主要ブランドとして、その地位を確立しているようです。


3Dプリンター製品群の紹介



Crealityの3Dプリンターモデルは多岐にわたり、それぞれ異なる特徴と機能を持ちます。
多くのモデルでオートレベリング機能を搭載しており、印刷開始位置の調整を自動で行ってくれるため、初心者の方でも簡単に準備できる点が大きな魅力です。 また、ダイレクトエクストルーダーを採用しているモデルでは、ゴムのようなTPU樹脂を含む幅広い素材での造形が可能です。 高速造形を謳うモデルも多く、例えばEnder-3 V3は最大600mm/sの造形速度を実現しています。
ここでは主要なシリーズとその特徴、機能の違いを説明します。
なおより詳しい情報は、以下の
「Creality Wiki」 から参照できます。

参考サイト|Creality Wiki

**Crealityの主要な3Dプリンターシリーズ**



Crealityの製品ラインナップは非常に豊富で、FDM 3DプリンターのEnderシリーズ、CRシリーズ、K1シリーズ、Sermoonシリーズのほか、レジン(光造形)3DプリンターのHALOTシリーズ、さらには3Dスキャナーやフィラメント、レジンなどのアクセサリーも幅広く取り扱っています。

  1. Enderシリーズ : 特に「Ender-3シリーズ」はユーザーからの評価が高いFDM方式3Dプリンターの有名ラインナップです。本記事では特にこの機種にフォーカスして製品解説を行います。
  2. Kシリーズ : 高速プリントが特徴のFDM 3Dプリンターです。
    1. K1 : 熱溶解積層方式(FFF)の3Dプリンターで、約46分でテストモデルを印刷できる非常に高速なモデルです。組み立てパーツが3つと少なく、最初のセッティングが自動で非常に簡単です。箱型で囲いがあるため、ペットや幼児がいる部屋でも使いやすいです。最大印刷速度は600mm/sです。別売で遠隔監視機能や材料切れセンサー、タイムラプス動画撮影機能にも対応します。
    2. K1 MAX : K1シリーズの大型モデルです。
    3. K1C : K1シリーズの新しいモデルです。
    4. K1 SE : K1シリーズのダウンサイジングバージョンにあたる廉価版です。
    5. K2 Plus : 最新のK1後継機種です。
    6. K2 Plus Combo : マルチカラー印刷可能なK2シリーズのモデルです。
  3. Sermoonシリーズ :
    1. Sermoon D1 : ダイレクト式エクストルーダーを採用しており、最大印刷速度は180mm/sです。
    2. Sermoon V1 Pro : 組立済みで出荷されるモデルです。最大印刷速度は150mm/sで、ダイレクト式エクストルーダーとマグネットシートプラットフォームを採用しています。サイレント機構や四方密閉構造、フィラメントセンサー、LEDなどを標準搭載しています。
  4. CRシリーズ :
    1. CR-10-Smart Pro : 組立済みで出荷され、PEIプラットフォーム、オートレベリング、サイレント機構、フィラメントセンサー、LED、日本語UIを標準搭載しています。ノズル最高温度は300℃です。
    2. CR-30 : ベルトコンベア式のプラットフォームを持つモデルです。
    3. CR-M4 : Crealityの大型モデルの一つです。
  5. HALOTシリーズ : 光造形(Resin)方式の3Dプリンターです。
    1. HALOT-MAGE / HALOT-MAGE PRO : 光造形方式は積層痕が残りにくく表面がきれいに仕上がるメリットがありますが、ニオイの強いレジンを使用し、印刷に時間がかかるデメリットがあります。また、印刷後に余分なレジンを洗い流し、再度硬化させる「二次硬化」が必要です。
  6. Hiシリーズ : ユーザーの使いやすさとお求めやすい値段帯を追求した最新のホビーユーザー向けモデルです。
    1. Hi : 初心者から使えるセットアップの簡単なエントリーモデルです。
    2. Hi : Hiからさらにマルチカラー印刷に対応した拡張モデルです。

**その他製品**



Crealityはこれらの3Dプリンターの他にも、3Dスキャナー(例: CR-Scan Ferret)や、造形後の処理に使う「UW-02」のような洗浄・硬化機、様々な種類のフィラメントやレジンなどの消耗品も提供しています。
各モデルは、造形サイズ、印刷速度、エクストルーダー方式(ダイレクト式かボーデン式か)、オートレベリング機能の有無、ノズル最高温度、プラットフォームの種類、静音性、Wi-Fi接続、フィラメントセンサー、停電復旧機能、ディスプレイタイプ、日本語対応の有無など、多くの機能が異なります。 購入を検討する際は、これらの機能と価格のバランスを考慮することが重要です。


Enderシリーズとは?



ここから本題です。

『Enderシリーズ』 は、Creality社が提供するFDM方式3Dプリンターの中でも特に3Dプリンターの草分け的なモデルで、ユーザーから高い評価を得ている製品シリーズです。 コストパフォーマンスの高さから、DIY志向のユーザーや、初めて3Dプリンターに触れる方にもいまだに人気があります。
特に初代Ender3は当時で2~3万円程度の価格帯で入手できたため、3Dプリンターの練習台も兼ねて最初に購入した方も多いのではないでしょうか。
製品選びの参考までに、新旧を含めたEnderシリーズの代表機種のスペックを以下の表にまとめました。

機種名 世代 リリース年月 造形サイズ[mm] 最大印刷速度[mm/s] 最高ノズル温度[℃] 最高ベッド温度[℃] 標準プラットフォーム オートレベリング サイレント機構 フィラメントセンサ 日本語UI 入手性
Ender-3 2018/7 220x220x250 180 255 100 マグネットシート
Ender-3 V2 Neo 2022/8 220x220x250 120 260 100 カーボランダムガラス
Ender-3 S1 Pro 2022/4 220x220x270 160 300 110 PEI
2023/9 220x220x250 250 260 100 PEI
2023/9 220x220x240 500 300 100 PEI

初代の発売からおおよそ10年の間にも、技術的な成熟が感じられ、信頼と実績がEnderシリーズの大きな魅力ともなっています。


生産終了機種について



Creality社では、新しいモデルの登場に伴い、Ender-3シリーズの多くの機種が生産終了となっています。 しかし、これらの機種も3Dプリンターの歴史を語る上で重要な存在です。
そして、未だにメンテナンスを繰り返して現役で使っている方も多数存在しているのではないでしょうか(著者も含めて)。
Amazonなどで再び購入しようとすると、なぜかもう同様のモデルがヒットしない、という経験をお持ちの方もいると思います。
ここでは、残念ながら生産終了となったEnder-3シリーズの代表的な機種をまとめておきます。

**生産終了したEnder-3シリーズの機種**

  • 初代シリーズ
    • Ender-3 : 「Ender-3シリーズ」の初期モデルで、その最大の特徴は約2万円で購入可能なコストパフォーマンスの高さでした。後継モデルのベースとなった機種であり、自分でカスタマイズできる玄人好みのモデルでした。
    • Ender-3 Pro : 「Ender-3」をベースに使いやすさを向上させたモデルで、より高品質な電源と取り外しが簡単なマグネット式のプラットフォームが主な改善点でした。
    • Ender-3 Max : 「Ender-3シリーズ」で造形サイズが大きいモデルでした。フィラメント検知機能やノズルの耐熱性向上といったアップグレードも特徴でした。
  • 第2世代・S1シリーズ
    • Ender-3 V2 : 「Ender-3」のアップグレードモデルで、高品質な電源、耐久性のあるガラスボードのプラットフォーム、静音性の向上、工具収納ボックス、カラーディスプレイなど、多数の改良が施されていました。
    • Ender-3 S1 : 2021年末に発売され、「Sprite」という独自開発の押し出し機構と「CR touch」という自動レベリング技術が特徴でした。ノブ式カラーディスプレイや大幅に低減された動作音も特徴でした。
    • Ender-3 S1 Pro : 「Ender-3 S1」の上位モデルで、ノズルの最高温度が300℃に向上し、PA(ポリアミド)などの高温フィラメントも使用可能でした。PEIプラットフォームが標準搭載され、本体にLEDライトも搭載されていました。
    • Ender-3 S1 Plus : 「S1」シリーズの最新機種で、「Ender-3 S1」の主要機能を維持しつつ、造形サイズが大幅に向上したモデルです。
  • Neoシリーズ
    • Ender-3 Neo : 「Ender-3」の後継モデルで、CR touchオートレベリング機能とカーボランダムガラスヒートベッドが搭載され、静音性や放熱性も向上していました。ただし、「Neo」シリーズで唯一の「要組み立て」モデルであり、操作パネルはモノクロでした。
    • Ender-3 V2 Neo : 「Ender-3 V2」の後継モデルで、組み立て時間が大幅に短縮されるクイックアセンブリ、CR touchオートレベリング機能、PCばね鋼磁気ヒートベッドが特徴でした。エントリーレベルとして申し分のない機能を備えつつ、価格もお手頃で「Neo」シリーズで最も人気のあった機種です。
    • Ender-3 Max Neo : 「Ender-3 Max」の後継モデルで、CR touchオートレベリング機能、プリントの安定性をもたらすデュアルZ軸、静音メインボード、刷新されたUIのカラー操作パネルが主なアップグレード点でした。造形サイズやノズル温度は「Ender-3 Max」と同様でした。

現行の生産機種について



先程のように生産終了となっているモデルが多数あります。 どうしてもそれらの機種を今から手にしたい場合には、中国のECサイトを探ってみるのも手かと思います。
とはいえ、過去のモデルから得られたノウハウや知見はすべて最新のモデルへと継承されているため、可能な限り後継のモデルの利用を検討したほうが良いでしょう。 (※最近のモデルは3Dプリンターを自分で自由にカスタマイズできる余地も少なくなってるので、ガチャガチャと改造したい用途には向きませんが...)
現在生産が継続されているEnderシリーズの主力は、第3世代のモデル・
Ender-3 V3シリーズ です。 これらの機種は、高速印刷、高精度、使いやすさを兼ね備え、最新の技術が投入されています。

Ender-3 V3シリーズ はCoreXZ構造採用や高速プリント、振動補正、WiFi通信といった最新機能を搭載し、コストパフォーマンスと高性能を両立しています。 初心者から中級者まで幅広い人気を誇るシリーズです。

  • Ender-3 V3 : CoreXZ構造を採用し、最大600mm/sのプリントスピードと最大20000mm/s²の加速度を実現した高速機種です。最大ノズル温度は300℃で、オールメタル構造を備えています。造形サイズは220 x 220 x 250 mmです。
  • Ender-3 V3 Plus : 「Ender-3 V3」の高速性能を維持しつつ、造形サイズが300 x 300 x 330 mmと大型化されたモデルです。ダイキャストによるメタルフレームで頑丈さと安定性を持ち、2つのY軸モーターで中型サイズを支えます。
  • Ender-3 V3 SE : 2023年8月発表の新しい初心者向けエントリーモデルです。
    • 組み立ての容易さ : 組み立てるパーツが4つと少なく、印刷開始までの準備が約15分で完了します。マグネットシートが付いているため、印刷物の取り外しが簡単です。
    • オートレベリング機能 : 印刷開始位置を自動調整するオートレベリング機能を搭載しており、手動レベリングが不要です。
    • 出力スピードと仕上がり : 約52分でテストモデルを印刷できる高速性があり、水平な部分の傾きが少なく、穴もきれいに再現されます。ただし、球体の下部分が崩れやすいといった、傾斜が大きいモデルの形成はやや苦手とする場合があります。
    • エクストルーダー : ダイレクトエクストルーダーを採用しており、TPUなどの幅広い素材での造形が可能です。
    • ソフトウェア対応 : 複数のソフトウェアに対応しており、エラー発生時にも別のソフトウェアで対処できます。操作パネルにはアイコンがあり、直感的に操作できます。
    • その他の機能と注意点 : ワンタッチで一時停止が可能ですが、停電時の復活機能や遠隔操作・監視機能は搭載されていません。稼働音が約57.7dBと比較的大きく、夜間の使用には不向きとされます。脱臭機能もありません。データ転送はSDカードのみに対応しています。造形サイズは220 x 220 x 250 mmです。
  • Ender-3 V3 KE : 「Ender-3 V3 SE」に似た見た目ながら、Wi-Fi転送やアプリ制御が可能なCreality OS搭載のタッチパネルを備え、フィラメント切れ検知センサーも標準搭載しています。最大500mm/sの高速プリントが可能です。造形サイズは220 x 220 x 240 mmです。


ではこの現役の4機種について個別にその特長を見ていきましょう。

Ender-3 V3



」は、通常のi3スタイルの3Dプリンターよりも12倍速く印刷できる、高速印刷が特徴のモデルです。

  • 600mm/sの高速印刷 : XとZモーターをベースに搭載することで、モーションシステムがより軽く、より速くなっています。
  • 高性能ダイレクトドライブ押出機 : ボルスタースプリングとボールプランジャーによって強化され、1000時間以上目詰まりのない押出が可能です。ノズルとヒートブレークを一体化し、ヒートクリープを防ぎ、交換を容易にしました。ノズルの先端には硬化鋼が使用され、カーボン高強度エンジニアリングフィラメントを確実に処理します。また、60Wのセラミックヒーターがホットエンドを取り囲んでおり、ABS、PETG、PLA-CFなどの高温フィラメントを瞬時に完全に溶かすことができます。
  • 印刷品質を高める : Z軸には精密リニアシャフトとタイミングベルトを採用し、リードスクリューの曲がりや位置ズレによるレイヤーのズレをなくします。2つの冷却ファンがプリントヘッドの前後に取り付けられています。その強く均一な風は印刷の間に冷却を後押しし、それゆえ印刷品質をよくします。フロント冷却ファンとホットエンド冷却ファンは、ダイナミックバランスが取られています。そのため、ぐらつきが少なく、リンギングやゴーストを最小限に抑えることができる。また、プリンターにはGセンサーが搭載されており、振動の共振を測定して低減します。
  • どこでも最高の品質 : ガントリーとベースは一体型ダイカストによる航空用アルミニウム合金製なので、プリンターは驚くほど安定し、耐久性があります。画像はモーショングラフィックで鮮明に表示され、レベリングプロセス、モデルプレビュー、温度などを確認することができます。Creality OSは、直線的な前進や入力波形整形など、多くの高度な機能を可能にします。また、ファイル保存用の8G ROMや、鮮やかな表示と直感的な操作を可能にするとともに、4.3インチのカラータッチスクリーンを搭載しています。
  • 3Dプリントを簡単に組み立て : わずか3つのステップで簡単に組み立てられます。校正が必要な場合は、自動水平調整、入力シェーピングなどをワンタップで完了する自動チェック機能を搭載しています。(組立参考動画:https://youtu.be/Z9x8zE7nhXs)Creality Printには、豊富なプリセットが用意されており、モデルのスライスを素早く行うことができます。Creality Cloudは、クラウド印刷と遠隔モニタリングをサポートし、どこにいても印刷を見守ることができます。

Ender-3 V3 Plus



」は、「Ender-3 V3」の高速性能を維持しつつ、造形サイズが大型化されたモデルです。

  • より大きな造形サイズ : 300x300x330mmの造形容積を提供し、Ender-3 V3より58%大きくなっています。実物大のアイテムを1ピースでプリントしたり、より多くの小さなパーツを一括でプリントしたり、超大型3Dモデルの切断を減らしたりすることができ、効率が大幅に向上し、より創造的な可能性を提供します。
  • 600mm/s 高速印刷 : CoreXZとY軸デュアルモーターを搭載し、最高印刷速度600mm/s、加速度20000mm/s²をサポートします。通常の3Dプリンターの12倍の速度でプリントできます。プロトタイピングや 小型ロットの生産は、これまで必要とされていた時間とコストのほんの一部で行うことができます。
  • XZベルトと高精度のZ軸&より少ないぐらつき : XZベルトの張力は手動で調整する必要がなく、高速運転時にスリップしにくく、長期間にわたりスムーズで安定した印刷動作を保証します。Z軸は高精度の光軸と同期ベルトを採用し、高速印刷時にモデル層のパターンを効果的に最適化することができます。
  • 強力な押出機と強力なパンチ : ボルスタースプリングとボールプランジャーによって強化されています。1000時間以上詰まりのない押出、それは緩むことなくしっかりとフィラメントをつかみます。側面のスプリングは、押し出しギアのグリップを強化します。粉末冶金レバーは、変形しにくく、押し出し力を維持します。
  • 自動校正レベリング&迅速な組み立て : 自動調整、自動Zオフセット&レベリング、自動入力シェーピングテスト、ワンタップキャリブレーションは、紙を引っ張ったり、ネジを回したりする必要がなく、あなたのためにすべてを準備します。Ender-3 V3 Plusはあらかじめ組み立てられたモジュールでお届けします。
  • トリメタル「ユニコーン」ノズル&素早く交換可能 : ノズルとスロートは全金属一体型設計を採用し、ノズル先端は硬化鋼で作られているため、フィラメントの排出がスムーズで、耐用年数が長く、分解やメンテナンスも簡単です。
  • より強力なY軸とZ軸 : Y軸には2つの強力なモーターが搭載され、プリントベッドは2本の頑丈なリニアロッドに沿って2つの500mN.mモーターで前後に素早く動きます。大きくて重い3Dプリントを運ぶのに何の苦労もありません。2本のサポートロッドは、ベースとガントリー上部を接続し、Z軸の揺れを低減する剛性の高い三角形を形成するために追加されています。

Ender-3 V3 SE



」は、2023年8月に発表された新しい初心者向けエントリーモデルです。

  • 組み立ての容易さ : 組み立てるパーツが4つと少なく、印刷開始までの準備が約15分で完了します。マグネットシートが付いているため、印刷物の取り外しが簡単です。
  • オートレベリング機能 : オートレベリング用のCRタッチセンサーと、オートZオフセット用のストレインセンサーが搭載されており、手動レベリングが不要で、非常に簡単にレベリングができます。
  • 高速印刷と多様なフィラメント : 最高印刷速度250mm/s、2500mm/s²の加速度をサポートし、印刷時間を大幅に短縮します。260℃の高温耐性ノズルと110℃の高温印刷をサポートするPEI印刷シートにより、PLA、PETG、TPU(95A)などのフィラメントを印刷できます。
  • 安定した構造 : 高精度デュアルZ軸リードスクリューは、効果的にZのぐらつきを低減し、単軸印刷の印刷偏差を避けることができます。Y軸は、強度と耐摩耗性に優れたスチール製の2本の8mmリニアシャフトを備えており、長期間にわたって印刷の安定性と高い印刷精度を保証します。
  • 「スプライト」ダイレクト押出機 : 新しくアップグレードされた「スプライト」全金属デュアルギアダイレクトエクストルーダーが搭載されており、エクストルーダーの押し出し力がより強力になり、軽量化されました。

Ender-3 V3 KE



」は、「Ender-3 V3 SE」に似た見た目ながら、さらに進化した機能を搭載しています。

  • より速く、よりスマートに : 8000mm/s²の加速度で最大500mm/sの速度で印刷でき、待ち時間を短縮します。直感的なタッチUIスクリーンとリアルタイムモデルプレビューは、印刷プロセスをよりスムーズにします。
  • 信頼性と多機能印刷 : 高性能Spriteダイレクト押出機は、60Wセラミックヒーター、バイメタルヒートブレイク、銅ノズルにより、300℃の印刷と様々なフィラメントのスムーズな供給が可能です。Hyper PLA、PETG、ABS、TPU(95A)、ASAフィラメントに対応しています。
  • 超スムーズで安定した操作性 : 堅牢な構造と精密に設計されたパーツが、スムーズで安定した動きを保証します。アップグレードされたX軸にはボールベアリングを含むキャリッジスライドが搭載され、常に高品質なプリントを実現します。
  • 高精度設計 : スマートアルゴリズム機能により、プリンターの振動を緩和し、リンギングやゴーストを最小限に抑えます。0.1mmの精密な印刷精度。高速モデル冷却用のデュアルファンを搭載し、プリントを常に良好な状態に保ちます。
  • 新しいUI&PSE認証 : スマートフォン、WiFi、USBドライブの3つの印刷方法をサポートしています。フィラメントシフトセンサーと停電回復機能により、時間とフィラメントを節約できます。

まとめ



今回は、Creality社のEnderシリーズについて、その概要から現行機種、生産終了機種までを詳しく解説しました。

  • Enderシリーズは、コストパフォーマンスの高さと多様なラインナップが魅力です。
  • 初心者の方には、組み立てが簡単でオートレベリング機能を搭載したEnder-3 V3 SEやEnder-3 V3 KEが特におすすめです。
  • さらなる高速印刷や大型造形を求める方には、Ender-3 V3やEnder-3 V3 Plusが適しています。
  • 生産終了機種の中にも、カスタマイズ性が高く玄人好みのEnder-3や、使いやすさを追求したS1シリーズなど、魅力的なモデルが多く存在しました。

個人的には、安価で構造もシンプルでメンテナンスや自前のカスタマイズもしやすかった初代Ender-3の継続販売を続けてほしかったのですが、現状はメーカーからのサポートが手厚い第3世代の購入を検討したほうが無難でしょう。
この記事が、皆さんの3Dプリンター選びの一助となれば幸いです。