Debian Linuxでも無料版Fritzing〜ラズパイ4&ラズパイピコをライブラリに追加


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2024/03/06
蛸壺の中の工作室| Debian Linuxでも無料版Fritzing〜ラズパイ4&ラズパイピコをライブラリに追加
『Fritzing』 は電子回路設計ソフトの一つで、ビジュアルのキレイな配線模式図が描けることもあり、当ブログのような電気工作系の技術記事にはとても重宝するソフトウェアです。
昨今では、最新のFritzingのバイナリ版のダウンロードが有料になり、昔ほどのお手軽感はなくなりましたが、公式から使いたいかたは8ユーロ(=1300円)の寄付を行うことでソフトウェアを入手できるようになります。

ダウンロード先 | Fritzing - download

Fritzing自体はGPLv3ライセンスのオープンソースソフトウェアで、私的にソースコードをビルドして利用する分には問題はありません。

fritzing-app - GitHub

簡単に最新版のFritzingをビルドできるならば苦労はいらないのですが、各OS環境ごとにビルドする手順は結構手間がいります。

参考|Building Fritzing

自前ビルドを成功させるには、主に
Qt系ライブラリ群 を上手く準備する必要があります。
最新版だとQt6のインストールやライブラリ設定をちゃんとやらないと、ビルドがコケてコンパイルエラー地獄へと突入する...なんてことになり、ビルドするだけで非常に時間を取られる恐れがあります。
特にLinuxで使う場合、glibのバージョンにも注意が必要で、割と新しいLinuxカーネルのディストロでないと上手くいかない場合もあります。
ということで自前ビルドを行う前には気合を入れた準備が必要になりますが、そもそも著者の場合、メインの電子回路設計ソフトはほぼ「KiCad」でして、Fritzingを使う場合には、「ブログにて説明用に使うキレイで分かりやすい模式図」を描きたいだけが目的です。
特にFritzingの最新の機能を使いたいというモチベーションもないのであれば、かなり古いバージョンにはなりますが、Debian OSなどで一発パッケージ導入が可能な
v0.9.3(2016) で十分目的は果たせると思います。
ということで、今回は
Fritzing v0.9.3(ベータ版) を使って、標準ではライブラリ登録されていないもののうち、ラズパイ4とラズパイピコの手動追加の話を紹介してきます。


Fritzing(無料版)のインストール



Debian OSでFritzingをパッケージインストールしていきます。
今回インストールする環境は少し古いDebian11(Bullseye)で試します。

            $ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Debian
Description:    Debian GNU/Linux 11 (bullseye)
Release:        11
Codename:       bullseye

        

余談ですが、最新のFritzingをインストールする場合には、利用しているLinuxディストロのカーネルとglibcも良く確認しないといけません。

            #👇カーネルのバージョン情報の確認
$ uname -v
#1 SMP Debian 5.10.205-2 (2023-12-31)

#👇glibcのバージョンを確認
$ ldd --version
ldd (Debian GLIBC 2.31-13+deb11u7) 2.31

        

手元のPCの場合、
linux kernel 5.10glibc 2.31 のだいぶ古い組み合わせですが、最新のFritzingのサポート情報を見ると、ギリギリビルドいけるか?な感じです。

参考|Fritzing 1.0.2 released

お戯れはこの辺にしておいて、パッケージ版をインストールします。

            $ sudo apt install fritzing -y

        

とこれで無償版のインストールは完了です。
実際に立ち上げてみましょう。

            $ fritzing

        


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合同会社タコスキングダム|蛸壺の技術ブログ


バージョン情報を見るとベータ版ということも分かります。
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Fritzingへ手動でモデルをインポートする



先程パッケージインストールしたFritzingのベータ版(無償版)と、公式から有償でダウンロードできるリリース版とでは、デフォルトでサポートされる部品のデータが異なるため、最近のシングルボードコンピュータなどの製品データは自前で準備する必要があります。
ここでは、ラズパイ4とラズパイピコの2つを例に取り、Fritzingベータ版でのデータの追加方法を確認していきましょう。

ラズパイ4のデータをインポート



正直なところ、お目当てのFritzingデータを作成して、公開している有志の方がいるか、いないかは、そのときの運次第です。
データをネット検索した上で探せればラッキー、ない場合には自分でSVG画像や配線レイアウトファイルなどを作成することになります。
ラズパイ4Bのモデルは、幸運にもFritzingフォーラム内で、自作のデータをアップロードされている方がいらっしゃるので、こちらを使わせていただきます。

Raspberry pi 4 model B - fritzing forum

白熱される議論で、一番最後あたりの
Raspberry-Pi-4B-4.fzpz をクリックして、fzpzファイルをダウンロードしてみましょう。
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ダウンロードしたファイルを使って、ラズパイ4のモデルをFritzingへインポートします。
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アプリ画面の左にある
[Core Parts]の左のメニューアイコン > [Import] からファイル選択のダイアログを表示し、先程ダウンロードしたファイルを読み込みます。
すると、
[My Parts] 内に独自定義したパーツが登録されていたらOK。
あとはこのマイパーツを呼び出すことで、通常のパーツと同様に配線したりして使うことができるようになります。
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ラズパイピコのデータをインポート



次にラズパイピコのデータも登録してみましょう。
ラズパイピコのFritzingデータは、とても親切なことに、製品公式のダウンロードから入手することができます。

ダウンロード先 | Raspberry Pi Pico and Pico W


このサイトの途中にあるリンクをクリックすると、Fritzingデータファイルがダウンロードできます。
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先程と同じ手順で、
[Core Parts]の左のメニューアイコン > [Import] からダウンロードしたファイルを読み込み、 [My Parts] 内にマイパーツとして登録しておきます。
これでラズパイピコも利用可能になりました。
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まとめ



今回はFritzingベータ版で最近のラズパイ製品のデータをインポートして利用する方法を解説していきました。
Fritzingの強みとして、実物そっくりのイラストで配線の設計ができる機能は、技術ブログには必須とも言えます。
反面、ベータ版なので、サポートされるデータは少ないので、必要に応じてデータを入手したり、自作したりといろいろ追加の面倒な作業が要求されます。
もしそういう作業に不便を感じたら、8ユーロの有償版を使うことも検討してみてください。