【FreeCAD初心者ガイド】Linux版FreeCADからOpenSCADを提携させるときの注意点


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2023/10/16
蛸壺の中の工作室|FreeCADからOpenSCADを提携させるときの注意点

FreeCADには標準で「OpenSCAD」ワークベンチが使えるようになっています。

著者が普段から使い慣れているDebian Linuxにおいては、古いバージョンのFreeCADでは問題なく動作していたのですが、ここ最近のFreeCADにおいては少々事情が違います。

今回は、このFreeCADに標準機能とされているOpenSCADワークベンチに少し触れてみます。

なお、MacOS版やWindows版のFreeCADにおいては、OpenSCADワークベンチは問題なく動作します。

結論としては、LinuxアプリのGUIで
PyQt5にOpenSCADが非対応ということが問題になっています。

このことについて詳しく調べたのが今回の記事の内容です。


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FreeCAD v0.20以降のOpenSCADワークベンチの注意点

OpenSCADワークベンチの動作確認で用いたのは以下のバージョンのFreeCADです。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

なお、Linuxで最新の安定版をインストールする手順は以下の記事を一読ください。

合同会社タコスキングダム|タコツボの中の工作室
【FreeCAD初心者ガイド】Debian LinuxにFreeCAD v0.21をパッケージインストールする方法

無償の高機能3dモデリングCAD・『FreeCAD』をDebian Linuxにパッケージインストールする方法を解説します。

では話を戻して、FreeCADを立ち上げて、「OpenSCAD」ワークベンチに切り替えてみます。

そして、簡単なモデリングコードを実行してみますと、

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

...残念ながらコンソールから以下の警告で実行が失敗してしまいます。

            It looks like you may be using a Snap version of OpenSCAD. If OpenSCAD execution fails to load the temporary file, use FreeCAD's OpenSCAD Workbench Preferences to change the transfer mechanism.
/snap/freecad/759/usr/bin/openscad: error while loading shared libraries: libQt5Gamepad.so.5: cannot open shared object file: No such file or directory
        
どうやらsnapからインストールしたFreeCADに同梱されているOpenSCAD(/snap/freecad/759/usr/bin/openscad)は、最近のlibQt5Gamepad.so.5というQt5系のライブラリには非対応とのことです。

参考|OpenSCAD snap version throws error "libQt5Gamepad.so.5"

現在執筆時にはFreeCAD v0.21が最新で、ここに至るまでにFreeCAD自体がQt5に対応したりと割とGUI機能が大きく進化しました。

対して、OpenSCAD自体は2年間更新されていないために、FreeCAD内部のライブラリとの齟齬が大きくなったままで現状放置されています。

つまり、このようなエラーに遭遇した場合、解決方法しては、
FreeCAD v0.19以前に戻すというのが唯一できる対処法のようです。


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いっそのことOpenSCADを単品で使う

現状、FreeCAD内のOpenSCADワークベンチは絶賛休業状態です。

これは最新のFreeCADの致命的なバグとも言えるのですが、OpenSCADの開発ペースがとても遅いので、いつ頃にまともに使えるようになるのかはいまのところ未定になっています。

かたや、FreeCADはPythonの進化とともにここに至るまでもさらなる機能の向上が続いており、OpenSCADなしでも現状、ほぼ困らないものになりました。

おそらく、OpenSCADを使えなくてとても困る人は、これまでに大量のアセットコードを作り込んできた方で、いまさら他のスクリプトベースのCADの乗り換えるのが大変という事情もあるでしょう。

FreeCADでのOpenSCADワークベンチがまともに使えるようになるのがいつになるかも分からないですし、OpenSCAD側が追いついても、今後のさらなるPythonの大幅な仕様変更によって、再び使えなくなるかもしれません。

どうしてもOpenSCADを使わないといけない事情をお持ちなら、FreeCADとは一旦関係なくなりますが、FreeCADとは切り離して「OpenSCAD」単体を使うのが賢明です。

各OSのOpenSCADのスタンドアローン版のインストール方法は以下のページに記載されている通りです。

参考|OpenSCAD - Downloads

ここではDebianで試しますが、

            $ sudo apt install openscad -y
        
インストールは即時終わります。

ここで一旦、OpenSCAD単体で立ち上がるかをチェックしておきましょう。

            $ openscad
        

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

ちゃんと立ち上がるようならひとまず準備はOKです。

余談 〜 FreeCADとOpenSCADの連携機能

FreeCAD側からの外部のOpenSCAD実行ファイル呼び出しが設定できる機能があります。

本来は上手く機能するはずですが...先程の説明した通り、最新のFreeCADではOpenSCADを実行することができません。

とりあえず、いつかこのバグがフィックスされることを信じて、設定方法を確認しておきましょう。

まずインストールしたOpenSCADの実行ファイルの場所を調べておきましょう。

            $ which openscad
/usr/bin/openscad
        
では、FreeCAD側にOpenSCADの実行ファイルパスを設定します。

FreeCADを立ち上げて、
OpenSCADワークベンチに入り、メニューから[編集] > [設定]へいくと実行可能ファイルの設定をする箇所があります。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の中の工作室

このパスを先程のOpenSCADの実行ファイルパスに変更してみましょう。

現状では、

            OpenSCAD executable unavailable
        
...実行できないと素っ気ないレスポンスが虚しく表示されるだけです。

OpenSCAD使いの方にはただただ歯がゆい思いをさせる...のがここ最近のFreeCADのようです。


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まとめ

以上、FreeCAD v0.20以上の「OpenSCADワークベンチ」の注意点をちょいとまとめてみました。

実際、著者も久しぶりにOpenSCADでモデリングしてみたいような形状があったこともあり、軽い気持ちでFreeCAD内のOpenSCADワークベンチを使おうとして、えらく回り道をさせられた挙句、現状使い物にならないとわかり、OpenSCAD単体で使う...という顛末になりました。

OpenSCADの開発ペースは遅いですが、まだプロジェクトとして止まっているわけではなさそうですので、個人的に今後の動向に注目して、OpenSCADを使い続けるかどうか考えさせられるきっかけにはなりました。

記事を書いた人

記事の担当:taconocat

ナンデモ系エンジニア

電子工作を身近に知っていただけるように、材料調達からDIYのハウツーまで気になったところをできるだけ細かく記事にしてブログ配信してます。