瞬間接着剤x重曹でスマホの電源ケーブルの付け根を修復・強化


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2023/09/20
2024/03/15
蛸壺の中の工作室|瞬間接着剤x重曹でスマホの電源ケーブルの付け根を修復・強化



最近、ふと目に止まったYoutubeのDIY系動画で、
「瞬間接着剤とベーキングパウダーを使ったライフハック」 の内容ががとても興味深かったので、少し調べてみました。



動画中では、その硬さを活かした利用法をいくつか提案されているようです。
調べると結構やられいるテクニックのようで、細かいおもちゃの破損部分の修復だったり、ポリスチレン発泡部品のような接着剤が効きにくい多孔質材料の組立て、硬質材料同士の接合、鋳物品の割れの補修...等々、主に小物の修復と相性が良いようです。
そこで著者も試しに何かでトライしてみようということで、これまで何度となく割れるたびに捨ててきた、「スマホの電源ケーブルの付け根」を固めてみようかと思います。


瞬間接着剤と重曹でなぜ固まる?



結構昔から、特定の瞬間接着剤と、重曹(炭酸水素ナトリウム)と混ぜると、かなり硬い充填材として使えることが知られていたようです。
重曹以外でも、酸化カルシウムなどでも硬く硬化するそうで、使用済み使い捨てホッカイロの粉でもいけるとの報告もあるようです。
ただし、市販されている瞬間接着剤の製品としては、その製品ごとに主成分が異なるので、瞬間接着剤の購入の際には、注意が必要になります。
重曹(ベーキングパウダー)と反応して充填材として機能する成分は、
「シアノアクリレート」 ですので、これが主成分でない瞬間接着剤は対象外になります。


被覆の割れたケーブルが直るのか試してみる



iPhone用の充電ケーブルで、繰り返し抜き差しをするうちにストレスに耐えきれなくなって、保護被覆が破断してしまうヤツです。
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合同会社タコスキングダム|蛸壺の技術ブログ


これのせいで結構、ケーブルを買い換えてきたので、修復できるならありがたいことです。
瞬間接着剤はシアノアクリレートが主成分の液状タイプを使います。
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瞬間接着剤には、他にジェル状というタイプもありますが、液が狙ったところにポタポタと当たってほしいので、今回のテクニックでは液状タイプ一択になります。
最初に重曹を断線した隙間に詰めてみます。
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...修復箇所が平面的でなく立体的なので、パウダーを落とすところが狙いにくいですね。
まぁ、重曹自体めちゃくちゃ安いので、これでもかいうくらいドバドバと埋もれるくらい振りかけておきます。
で、硬めたい場所へ瞬間接着剤を滴下します。
硬化は一瞬で完了します。
位置を裏返して、反対側からも同じ手順を繰り返します。
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終わったら、余分な重曹の除去して、生成物の硬化具合を確認してみます。
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噂通り、かなり硬い素材で破損部分が覆われていることを確認しました。
このままだとモコモコした素材感がハンパないので、カッターやハンドリュータ等で削って成型します。
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適度に削れるので、加工性も良好です。
後はスマホを充電してみて、問題なさそうなので、ちょっとした小物を修復するのには非常に良い方法だと感じました。


番外編①〜ゴム-to-ゴムが接着できるかも試す



先程の例では導線の被覆ポリマー同士の接着でした。
この
「瞬間接着剤x重曹」 の方法では、どんな素材同士でも接着させることができるため、修復の用途で、さらに応用の幅を広げさせてくれます。
主題とは逸れますが、個人的なユースケースとして、なかなか通常の接着剤では固めるのが厳しい、「ゴム(エラストマー)同士」もトライしてみます。
対象としてが土木作業用の安全長靴で、側面の柔らかくなっている箇所で、使い込んでくると良く穴が空いてしまう箇所を手直ししてみます。
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ホームセンターで購入したゴムのロールを適当な長さに切って、
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長靴の破けた箇所に、ゴムパッチとして貼り付けます。
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でこれを瞬間接着剤と重曹で隙間なく埋める感覚で、接着していきます。
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ちょっと見た目はモコモコして直ぐに取れてしまいそうな仕上がりですが、実際はかなり強固に張り付いています。
通常のゴム用の接着剤だと、ゴム同士はくっつきはするものの、その後作業していたら、動きに耐えきれなくなって、やっぱり取れてしまう...というのを繰り返していたので、ちょっとやそっとの運動や衝撃では全然外れないので個人的には満足しています。


番外編②〜メガネのフレーム割れで試す



プラスチック製のメガネフレームは長持ちするように強固な材料でできていますが、それでも日々使う間に蓄積された内部疲労によって、ある日突然割れが発生してしまうものです。
フレームの形状にもよると思いますが、ごく一般のメガネフレームだと、例えば下の写真のように、レンズ同士を繋いでいる一本梁のほぼ中央がパックリと割れる場合が多い印象です。
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写真で上側のものは、普段つかいのものでおよそ8年もの長きにわたり使ってきましたが、最近とうとうパックリ割れを起こしてしまいました。
さすがは丈夫なエンジニアリングプラスチック素材製なだけに当時で2万円くらいしましたが、これだけ長く使えればもう十分元を取っている気はします。
とはいえ、メガネフレーム修復への重曹+瞬間接着剤の応用はどのくらいなものなのか検証するにはもってこいの状態ですので、このメガネのさらなる延命を図ります。
もうひとつ下側のメガネは、百円均一ショップで買った老眼グラスで、一年と持たずにお亡くなりになったものを捨てずにキープしていたもので、今回は接着の練習用に使います。
まずは、接着剤が飛び散ると表面から取れなくなるのを防ぐため、レンズ面をテープでマスキングして保護します。
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先に練習用の100円メガネで接着の感覚を掴むのに使います。
とりあえず、ネジ止めされているメガネのツルを外してレンズを持ちやすくしてから、割れた部分に接着剤を塗り、盛っておいた重曹パウダーの山へハサミ込むようなイメージで修復作戦を試します。
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2つの立体的な物体はかなり苦労しますが、できるだけ割れる前の状態になるように、貼り合わせのズレに注意しながら接着剤と重曹を反応させます。
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で、結論からいうと、この方法ではダメでした。
補填剤で
割れ目を埋めるだけでは強度が弱すぎ て、くっついたと思ってもすぐにまた破断してしまいます。
ということで取り直して本番のメガネを使って作戦変更です。
割れ目をくっつけた後で、さらにその周辺を補填剤でできるだけ厚く肉付けしながら太くしていきます。
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多少、つなぎ目がぶっとくなっても後で削って形を整えればよいだけなので、貼り合わせに注意しながらガンガン接着剤&重曹を盛っていきます。
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充填材が十分に硬化したあとで、ハンドリュータなどを使って形を整えれば修復は完了です。
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厚くした分ちょっと見た目は悪くなるのはどうしても仕方ないですが、これまでこの手の修復に使ってきたどの接着剤よりも強固です。
これでもいつかは割れるのかもしれませんが、数日たったあとでもまだまだ大丈夫そうです。
とりあえず、また割れたときにこの記事で経過報告をいたします。


まとめ



ケーブルなどの応急処置的な方法としても使えそうなので、なにかあったときに覚えておくと役に立つことがあるでしょう。
また接合する材料の種類には影響しないので、多目的に接着できる手法として、応用の幅も広がりそうです。


参考サイト

瞬間接着剤とべーキングパウダーを試してみる。