【LTSpice導入】Debian LinuxでLTspiceXVIIをインストールしてみる


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2020/07/03
2025/09/08
【LTspice】サブサーキットファイルでのモデル追加 〜 LM358の場合




最近ご無沙汰だったLTspiceをDebian Linuxにインストールして起動させてみたときのハウツーをまとめます。


LTspice



LTspiceは、無償でありながら有償のSPICEソフトウェアにも引けを取らないアナログ回路シミュレーターソフトです。

WIKI にもあるように、もともとはLinear Technology社が開発したフリーウェアだったものが、2016年に同社がAnalog Devices社に買収された後も、継続してAnalog Devices社のホームページからダウンロードして無償で利用することができます。
著者的にだいぶご無沙汰だったわけですが、現行最新版のver.24になっています。
歴代のLTspiceだと、バージョン名がサフィックスについていたので、このバージョンも「LTspiceXXIV」となるのかと思いきやそうはならずに、ver.24からは単に「LTspice」という名称でリニューアルしています。
名称だけでなく、中身も大幅リニューアルしているようで、特にWindows10以降でないと動かなくなっているようです。


Linuxへの導入

Wineのインストール



windows用のアプリケーションをLinuxで動作させるの欠かせないのが
wine です。
Debianでは、以下のパッケージマネージャーからインストールできるwineは少し古いバージョンで、windows10以降のアプリケーションを動かす際には少し不安定になります。
そこで
「Wine-HQ」 をインストールするのが理想です。 Wine-HQのインストール手順は別の記事にまとめてありますので、以下のサイトを参考にしてください。

ConoHa VPS(Linuxインスタンス)で最新のWine(Wine-HQ)をインストールする

DebianにWine-HQが正常に導入されたと仮定して次に進みましょう。
今回の手元のデスクトップではDebianOSは64bitアーキテクチャですので、コマンドラインでインストールされるのは
wine64 です。
ただし、先述したようにLTspiceの64bit版はwineで起動することが困難なので、LTspice(x86)を動作させるため、
wine32 を導入する必要があるようです。 警告文の通りに、 wine32 をどうしてみます。

            $ sudo dpkg --add-architecture i386
$ sudo apt update
#32bit用のライブラリがインストールされる
$ sudo apt install wine32

        

といくつかファイルがmissingしているような警告が出ますが、とりあえず無視しても良さそうです。


LTspice24が動くか試す(現状は失敗)



LTspiceはWindows向けかOSX向けにしかソフトウェアを提供していないため、
Analog DevicesのWebサイト からWindos用のバイナリファイルをダウンロードするところから初めます。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の技術ブログ


ダウンロードしたインストーラー・
LTspice64.msi はひとまず適当なフォルダを作って保管しておきます。
結論からいうと以下のフォーラムに紹介されているように、手元のWineでも起動がコケて使えなそうな感じでした。

LTSpice24 Installation Error


このver.24では、32bit版が提供されないため、これ以上はwineで動かそうといろいろ画策することもできません。
既にサポートは切れているのですが、Linuxのwineを利用する限りではまだしばらくは
LTspiceXVII(ver17.0) を現役で使い続けるしかなさそうです。

LTspice17.0のインストールと起動



公式からファイルをクリックしてダウンロードしても良いのですが、直接wgetコマンドで拾うほうが楽なので、そちらのやり方を紹介します。

            #LTspice17用のインストーラーをダウンロード
$ mkdir ~/tmp && cd ~/tmp/
$ wget https://ltspice.analog.com/software/LTspice64.exe

#wineからインストーラーを起動
$ wine LTspice64.exe

        

すると、最初にインストーラが起動してきます。

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とりあえず
[Accept] > [Install now] でwine内部でのインストール作業が開始されます。
ちなみにここで紹介されている
ver.17.1(Beta) はver17の最終版として提供される予定のものだったようですが、結局これが名前を変えて、 ver.24 となってます。
問題がなければ、インストールが完了したとダイアログが出ますので、OKします。

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インストールが完了したらインストーラーが削除しておきます。

            $ rm -rf LTspice64.exe

        

ではアプリケーションメニューに追加されている
LTspice を起動してみましょう。
初回ライブラリのアップデートがある場合には、
YES(Y) をクリックするとライブラリが更新されます。

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ライブラリ更新後、アプリを再起動するとインストール完了です。

合同会社タコスキングダム|蛸壺の技術ブログ


なお、ちょっと古いDebianだとCUI操作のみに対応していて、起動は毎回コマンドを叩く必要がありましたが、現在ではwineがスタートメニューからGUIで登録したアプリを起動できるようになっています。
今回は
LTspice が使えるようになっただけでも十分目的を達成したので、wineアプリとしてどこまで機能が使えるのかやりながら検証していきます。

wineのパラメータ設定



デフォルトではウィンドウの解像度が低くて操作画面が見にくい状態であったり、オーディオ未設定で音声が出なかたりするので、コンソールから以下のコマンドを叩いてみます。

            $ winecfg

        
合同会社タコスキングダム|蛸壺の技術ブログ


という設定ダイアログからパラメータを設定してあげると解決するかもしれません。 (もちろんwindowsで起動するそのままを再現するほどの効果は期待できませんが...)


まとめ



以上、DebianのパッケージインストールしたwineでLTspiceを起動する方法を解説しました。
メニューにwineを追加して操作するなどのより使い勝手いい環境を求める方は、
UIでGnome ClassicにしたUbuntu でやられているような手順でLTspiceを導入することを考えてみられても良いかもしれません。